桜散って 夢の競演 古書会館

桜が散って、いま町は「桜蘂(しべ)降る」。いい季節である。

なのでちょっと足を伸ばして神田に行ってきた。駿河台下の「東京古書会館」。幻の稀覯本を求めて、古本の市に行ったのだ。

なんてことがあるわけはなくて、古書会館で開催中の「永井荷風展」に行ったのだ。生誕130年、没後50年を迎える永井荷風の貴重な初版本や肉筆等が展示されている。

それに加えて山本高樹氏のジオラマや、松本哉氏(「素人の乱」じゃないほうの)のイラストが展示されている。

そして目玉が畏友・石塚公昭氏の荷風人形。七輪の前にしゃがんで和綴じの本を広げている図。いかにもの偏屈が40センチの身長から滲み出している。そしてもう一つの目玉が平成の荷風坂崎重盛さんの荷風へのオマージュ俳画である。

石塚さんと坂崎さん、夢の競演である、僕にとっては。っていうか、この競演を実現させたのが自分じゃないのがもの凄く悔しいぜ、実際。いや、そのニンでないのはわかっているけどね。

まぁ、僕のジェラシーはともかく、凄く面白い展示なのでおすすめ。他に、奥本大三郎さん、佐野眞一さん、浅生ハルミンさんもオマージュ作品を寄せている。

入場無料。

会期は4月18日(土)まで。時間は11:00〜17:00。

東京古書会館にて。駿河台下交差点から御茶ノ水に向かって歩いて、一つ目の角を右に折れてすぐ。


実はこの企画、立案したのは有名な“文壇”バー「人魚の嘆き」のママさん。そう、僕などがジェラシーを抱くこと自体が実は不遜なのである。