瀋陽、右往左往 「故宮」へ行く。

・・・・・5月4日(3日目)の旅日記<1>・・・・・・

一夜明けた。今日は市外には出ない。市内で過ごす。だから計画も適当で良いや。ゆっくりと朝食を食べて、名物の豆腐脳も食べた。


今回の旅への出発前、三吉に、「どういうところ行きたい?」と聞いたら、「大きいものが見たい」と言っていた。じゃ、今日は「故宮」にでも行こうかな。大清帝国の創業者・ヌルハチの作った宮殿で、北京に遷都、というか北京を占領するまでは、ここ瀋陽が都だったのだ。

北京の故宮などはとにかく広く1日がかりで見るほど、台湾の故宮博物院の宝物の量と来た日には、それこそ眩暈がするほどだ。数日がかりでもその一部しか見られない。


そういうわけで、故宮に行こう。ホテル前からタクシーを拾って「故宮」のチケット売場まで直行。料金は13元(約210円)。故宮は、前夜に遊んだ「中街」のすぐそばに位置する。いや、それは間違っている、「中街」が「故宮の城下町」なのだったな。


故宮の入場料は一人50元。800円。高い!! もちろん、高いだけに中には貴重な建造物や庭園がたくさんあるそうだ。案内板に依ると、ヌルハチゆかりの16世紀の建造物などもある。

朝の開園時刻8時半からから間もなくの9時過ぎだったで、内部はそれほど込み合っていない。だからかなりゆっくりじっくり見ることが出来た。案内板も中国語と英語の併記なので、大意を掴むことぐらいは容易だ。


メインの建物が「鳳凰楼」。会議場兼宴会場だったそうだ。観光客たちも必ずここで記念撮影をする。


さらに進むと大きな広場に出た。

ここが政治の中心で、奥にある建物が皇帝の御座所で、両脇にある建物軍が満洲八旗、つまりお旗本たちの役所である。

もちろん、北京の比ではないが、なかなか広い。皇帝や皇后の衣装を着てのコスプレ写真なども撮ってくれる写真屋さんが出ている。


ぼくが広場の写真などを撮ったり案内板と格闘したりしていたら、いつのまにか僕のそばを離れた三吉はどこかの青年と談笑していた。

「父子でご旅行なんて素敵ですね」と流暢な日本語で僕にも話しかけてきた彼は、日本人ツアーのガイドさんだった。自由見学時間だったようで、20人ほどの中高年の日本人男性たちが楽しそうに笑いながら、ぞろぞろと歩いていった。


「昨夜も2時までカラオケで私などはバテバテです。日本の方たちはお元気ですね」

いやいやみんな元気なのは旅行中だけですよ、などと話して別れた。


さて、三吉の「大きなものを見たい」というリクエストに応じてやってきた故宮であるが、思いのほかコンパクトにまとまっていて、1時間ぐらいで見学が終わってしまった。午前中一杯かかることを覚悟していたんだけど・・・。


どうしようかな、これから・・・・。

一昨日から迷っていたことの結論を出さなければならない時間がそろそろ迫ってきたのである。

(続く)