・・・・・5月4日(3日目)の旅日記<16>・・・・・・
そういうわけで、西塔(シータ)に行くことにしたわけであ。シータと言っても飛行石を持った謎の少女がいるわけではない。それはもう前回言った。
ツレに敬意を表しての訪問である。
瀋陽は間に丹東市をはさむだけで、北朝鮮と至近の都市だ。歴史的にも地理的にも。だから朝鮮族の人も多い。この旅日記にも書いた、お隣の撫順の犬料理店の繁盛振りなどもそれと無関係ではないだろう。
これからいく西塔は、瀋陽の中でも特に朝鮮族の人が多いエリアだ。北系、南系両方いるそうだ。中国文化とは別の文化コミュニティがあるという。
つまり、「韓流の町」なのである。だから、ツレに敬意を表しての訪問。ちょっと強引である。普通に言えば「コリアン・タウン」なのかな。
こちらで買った「瀋陽旅遊地図」に載っている「朝鮮族百貨大楼」がランドマーク。それが見え始めたあたりから街の雰囲気は変わる。胸にハングルの縫い取りのあるジャージ姿の女学生の一団とかがいる。商店からは朝鮮の音楽が聞こえる。
「朝鮮族百貨大楼」は大楼というほどのことも無い5階建ての小規模のデパートだった。それほど珍しいものは無かったかな。
あっ、そうだ。前回は「ただみの日本食」の話で終わったんだったよね。
「朝鮮族百貨大楼」のエレベーターはちょっと変わっていてね、両側のドアが開くの。最近、駅のエレベーターなんかにあるタイプ。2〜5階は内側が開くのだけど、1階は外側が開く。だから気づくと店の外に吐き出される。
そこで見つけたのがこの店である。
「大全」ですよ「大全」。大きく出るなぁ、屋台店なのに。そそられるなぁ。
でこの写真、撮ったときは気がつかなかったんだけど、先日、ふと左上の黒いところを拡大したら、「ただみの日本料理」という謎の文字を見つけたのだ。日本料理店があったとは気がつかなかった。
さらに進んだところが、西塔のメインストリートだ。
でも・・・。レストランやクラブみたいなのは多かったけど、魅力は感じなかったかなぁ。ドアを閉じても隙間から猥雑なパワーが弾み出てくるような、そんな感じを期待して行ったのだけど、肩すかしだった。
比べてもしょうがないけど、これなら・・・・、
「猪飼野の勝ち!!」
「新大久保の勝ち!!」
あわよくば、西塔をぶらぶらしたあとプルコギで夕食、なんて考えていたのだけど、変更。一回、ホテルに戻って仕切りなおすことにした。
というわけで、振り向きもせずに西塔を後にしたわけであるが、僕の中では一つの確信があった。多分、間違いないと思う。それは・・・。
日が高いうちに子どもづれで来る街じゃない。
ということだった。
( つ づ く ) 嗚呼、旅の終わりも近い。