今、『忍者武芸帳 影丸伝』の1巻を読み終わった。呆然。凄いわ。
言わずと知れた、今話題の『カムイ』と並ぶ白土三平の代表作だ。オビに曰く、
「混迷の世に来るべき闘争と再生を告げる壮大な史劇! 貸本マンガの金字塔をカラー384ページを含めて原本から初めて復刻!」
実は僕は今まで断片的にしか読んでいなかった。生まれる前の作品だったからというのは言い訳にもならないが。
一読、これはなんつうか、凄い「叙事詩」だ。
戦国の世の中、百姓一揆を煽動、さらには指導して歩く、謎の忍者・影丸。それに仇討ちやら悲恋やら貴種流離譚やらが多層的に絡み合う。
展開はとにかくスピーディー。映画的演出も効いている。また忍術や秘剣の科学的解説も説得力がある。
そしてなによりテーマが「今日的」なのだ。階層社会と、運命を切り開こうとする力の相克が、時代を超えて描かれている。
上で書いたように、これは貸本マンガの復刻だ。嬉しいことに奥付も復刻だ。「三洋社 長井勝一」 とある。これだけでも「ジーン」である。
長井さんはこの後、白土さんに「カムイ」を描かせるために青林堂を興し、「ガロ」を創刊する。もちろんそれまでにはいろいろあるのだが。
もう一つ嬉しいのが付録。ブランド・ポーチどころじゃない。いや、しまった、付録じゃなかった。全員プレゼントだ。
これがなんと万年筆なのだ。白土三平の金文字サイン入り。これはクスグリどころを知っているなあ。僕はすっかりくすぐられてしまったよ。ふだんは万年筆なんて使わないのに。
この復刻は凄いよ、快挙。全17巻。これは読まないとやばいでしょう。
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