45歳から50歳くらいの人に聞きたいんだけど、猿顔の同級生に「オリバー君」って仇名つけなかった?
人間とチンパンジーの丁度中間の遺伝子を持つと言われて、鳴り物入りで来日したあの人、というか、あのお猿さん(献身的にそのお世話をしていた若きAD・伊藤輝夫君こそが、現在のテリー・伊藤である)。
そのオリバー君騒動や、石原慎太郎を団長とする「ネッシー捜索隊」、覆面作家・沼正三の『家畜人ヤプー』プロデュース、アントニオ猪木対“人喰い”アミン大統領のデスマッチ、等々のお騒がせ企画で知られるプロデューサーがいる。
それがこの本の著者・康芳夫。別名「国際暗黒プロデューサー」。
その人が本を書いた。その人とは康芳夫。書名は『虚人のすすめ 無秩序を生き抜け』(集英社新書・735円)
戦前の中華民国大使の侍医の子どもとして東京に生まれた日中ミックス。ごく普通に東大を出て、明日をも知れぬ「呼び屋」の世界に身を投じる。その波乱の人生から紡ぎだされた実業ならぬ虚業の、いや虚実の皮膜を行き来する哲学をたっぷりと語ったのがこの本だ。
著者には数年前に『虚人魁人 康芳夫』というとんでもない名著、というか奇書があって、本当はそちらから読んだほうがいいのだけど、いまや入手困難。『虚人のすすめ』からでもいいから皆読もう。
時代はまさしく混沌。こんな時代には混沌を泳ぎきる胆力が必要。裏と表、虚と実を軽やかに歩く知恵を授けてくれる怪書、快書だ。
この康芳夫と言う人、一般的にはもの凄く有名と言うわけでもないが、見るからにただものでないルックスをしている。白髪のロンゲの大男でピンクのチャイナ・スーツを好んで着る。もの凄く怪しい見た目である。
ネット上でこの人のことが凄く話題になったことがある。2006年の亀田興毅のボクシングの試合でのことだった。客席には川島なお美がいた。その丁度まん前に康芳夫がいたのだ。なにしろ体が大きくてロンゲなので後ろの席の川島からすれば邪魔な壁でしかない。ところが康さんが右へ左へよく揺れるんだ。そのたびに川島が迷惑そうに体の位置を変える。それの様子がテレビ中継にパッチリ移っていたものだから、「あれは誰だ?」とネットでは大変な話題になっていた。「内田裕也だ」と言う人もずいぶんいた。でも裕也はあんな怖い顔をしていない。
その康さんの容貌については、蕃茄山人さんがブログに似顔絵を描いていて、これはよく似ているからクリックしてご覧ください。
いや、本当に似ているんだって。
実は僕も一回だけ康さんと接近遭遇したことがある。業界筋某・パーティーに代打で出た時のこと、すぐ傍で某・作家と談笑する康さんがいた。いつものようにピンクの中国服を着ていた。
足元には薔薇の花。
そうか、招待者の名札つき造花を落とされたのだな。踏まれる前に、と僕はさっと拾い上げると「康先生、落とされました」と声をかけて手渡した。すると康さんはニコッと凄くいい顔で微笑み、
「あっ、これはどうもすみません」
と頭を下げた。こんな二周りも年下の若造にも礼を尽くす。もっと怖い人だと思っていたのだけど、もう、凄く感じいいの。
これは相当の人ッたらしだなぁ。
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