たった一人の残業。人っ子一人いなくなったオフィスで一人ぼっちで仕事。外は雨。
さて、帰ろうかとPCを落として荷物をまとめたところでファクシミリが鳴った。
やれやれ、。しょうがない。来たファクシミリをコートをあて先のやつの机の上においてやってから帰ろうかと思って吐き出されたペーパーをみると、水茎の跡麗しい肉筆で、冒頭に「姉上様」とあった。
「姉上様 いろいろ打ち合わせをしたいことがあるのですが、そちらの電話がずっとファクシミリになっているのでかかりません。至急、電話に切り替えてください。 八重子(仮名)」
明らかに間違えファックスである。
お急ぎのようなので、「間違えてますよ」と連絡してあげたいのだが、ペーパーに差出人番号が表示されないモードらしい。時刻だけが印字されている。
困ったなぁ。文面はところどころ旧仮名づかいもあるから、高齢の女性のようだ。
と、悩んでいたのだが、僕にしてあげられることはない。ファクシミリの情報履歴を打ち出してみたのだが、やはりナンバーは非表示。しかたない、あきらめて帰ろう。
と思ってコートを着たら、またファクシミリが鳴った。
吐き出されてきたペーパーには葬儀場の地図と通夜・告別式の日時、故人のお名前が印字されていた。
時刻の印字はさっきと同じ体裁。どうやら同じ人みたい。
困った。お年寄りの女性がお姉さんと知人か親戚の葬儀に行く相談らしい。他のことじゃないから知らせてあげたいけど、方法がない。手がかりがない。
とりあえず、その葬儀場に電話した。こういう間違いファックスが来た、と。電話に出たのは誠実そうな青年で、施主さんに連絡を取ってみますとのことだった。
葬儀直前の混乱下であろうから、それが最善の方法だったかどうかはわからないが、僕に出来るのはそこまで。
と思いつつも老いた姉妹が連絡が取りあえたかが、今もやっぱり心配なのである。
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