「オンリーな日曜日」

長女・花子(仮名・高2)は、朝早く、キャスターバッグをゴロゴロ引いて出かけていった。


ランナウェイ、ではない。


「オンリー」である。


基地の町で育った身としては、「オンリー」なる言葉を聞くとちょっとドキッとしてしまうのだけど、アニメ、コミック系のイベントの名称である。


有名なコミケはアニメ、コミック系のすべてのジャンルを包括する巨大イベントだけど、一つの作品オンリーに限定して、そのファンが結集するのがオンリー・イベントなのだ。


花子が出かけたのは、人気ハイパー・サッカー漫画・アニメ「イナヅマ・イレブン」のオンリーイベントだ。イベントというのは同人誌の即売イベント。400ほどの同人誌サークルが出品するという。つまり自主制作マンガのフリー・マーケットね。

売る側が400で、買う側がどれほどの人数になったのかは知らない。


花子は売る側である。1人サークル「鯵缶」を立ち上げ16ページほどのパロディ漫画本を作り、販売したのだ。「イナズマ・イレブン」のチーム・メイトたちが、パジャマ・パーティーを開いたという設定で、その夜の出来事をマンガにしたそうだ(頑強に見せないので詳しくはわからない)

  (表紙をモノクロの浮彫り加工)


この「出版」のシステムが面白い。アニメ同人誌の印刷・製本業者がいるのだ。そこに、描いた漫画をデータで入稿すると、印刷・製本して、会場に運んでくれるのだそうだ。そんならキャスター・バッグは必要ないと思うが、気分の問題なのだろう。


50冊ほど作って、11時半に販売開始。約1時間ほどで完売したそうで、浮かれたメールをツレに送ってきた。


印刷・製本代を考えると、完売してトントン。交通費を考えると足が出る。

ただ、ものを作る嬉しさと物を売る楽しさが同時に味わえたからよかったんじゃないかな。

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