「国立訪八団」北へ(3)八戸・洗心美術館観覧〜俳画詩画新作展

〔5月23日の日記 その3〕

続いては「俳画・詩画新作展」。オープニング企画としての特別展示だ。色紙を提供したメンバーは、俳人金子兜太氏、作家の嵐山光三郎氏、半藤一利氏、椎名誠氏、村松友視イラストレーターの南伸坊氏、安西水丸氏、エッセイストの三宮麻由子氏、そして落語家の立川談志家元!! 、さらにはわれらが関マスヲさん。

もちろんこのコーナーは嵐山光三郎先生の肝煎り。

嵐山氏は竹久夢二ばりの美人画で直球勝負。

「八戸の海鳴りを聴く山椿」

伸坊氏は中国の神仙に題材をとった幽玄な作品。

水月や壺中の天で潜り口」

村松氏のイラスト、半藤氏の版画はプロ級だ。


注目がエッセイストの三宮麻由子さん。「国立訪八団」のメンバーでもある。お名前をクリックしていただくと今回の作品がアップされている。


そして僕が最も感動したのが、立川談志家元の作品だ。

「船底をガリガリ齧る春の鮫」


ご存知、落語の「雑俳」に出てくる俳句(?)だ。亡くなった春風亭柳昇師匠の名演を思い出す。

ご隠居に俳句を習った八五郎が、「では春雨の句を」と得意満面で披露する句だ。


おそらく家元は、旧知の嵐山先生に

「この春、八戸に誕生する美術館になにか俳句を」

と所望されたのだと思う。

それに対してさらさらっと(たぶん)、あえて定番の、

「船底をガリガリ齧る春の鮫」

をぶつける。うまいなぁ。


野暮を承知で解釈しよう。

まず、「船底を」で、港町である八戸への挨拶句となっている。

そして「春の鮫」である。八戸港は大正までは「鮫港」または「鮫浦」と呼ばれていた。今でも八戸港のちょっと南に「鮫」という集落があり、駅がある。この句は、春雨と魚のサメの地口とともに鮫港(八戸港)の春の風景をかけている。つまりは二重仕掛の挨拶句となっているのだ。


やっぱりおもしろいなー、談志師匠。


この特別展示、いつまでやっているんだろう。多分、暫く展示していると思うのだけど、これはぜひ多くの人に見て欲しいぞ。