〔5月24日の日記 その4〕
櫛引八幡様を出たときにはすっかり雨降りとなっていた。
僕は歩くのは大好きだが、雨の中を歩く趣味はない。すぐさまタクシーに乗って八戸駅を目指した。バスなどない。あるにはあるが、もと来た本八戸のほうに行ってしまう。目指す八戸駅は町外れなのだ。
でもこのような風景↓ ↓
の中、タクシーなど拾えるのか、流しのタクシーなどいまい、と思われる方も多いだろう。
たしかにここまでも空車のタクシーにはまったく出会わなかった。
でもうまい按配に門前にタクシー会社の車庫があり、またうまい按配に運転手さんが屋根の下で柔軟体操をしているところだったのだ。まさに八幡様のご加護といえよう。信心はするものである。
タクシーに乗ったのは、もちろん雨降りだし先を急ぐからである。でももうひとつ理由があった。
時刻は11時直前。そろそろお昼ごはんも視野に入ってきている。いわゆる「ひるめしのもんだい」である。
昨日、行きそこなった「八食センター」にリベンジするか? それとも話題の珍食堂「T」にするかである。「八食センター」は八戸駅から100円バスが出ている。そして珍食堂「T」は八戸発の八戸線沿線の「陸奥湊」駅のそば。どちらにせよ、八戸駅が基点となる。
さて、どっちにしよう。ご当地で食べられる最後の食事である。いきおい慎重になる。
こういうときどうするか。タクシーの運転手さんに聞くのが一番いい(ということになっている)。「聞き込みは刑事(デカ)の基本」である。狩谷警部も言っている(いるかな)。
ドライバー氏曰く、
「そりゃあ、“T”ですよぉ。あっこで食べたら他では食べれません」
それまで櫛引八幡様の故事来歴を熱く語ってくれていた人だけに、信用してみたいと思った。
決まった、珍食堂「T」だ!!
決心した僕は、八戸駅前でタクシーを降りると、バス乗り場には向かわずに、八戸線のホームに向かった。
〔明日に続く〕