六本木で失意のどん底に、そして摩天楼の天辺に


今日は朝から六本木へ。長女・花子(仮名・高2)と二人連れ。


目当ては「国立新美術館」で開催中の「シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による― 」。


マグリット、キリコ、ダリ、デュシャンらの作品が一堂に会する。入院中に中河原駅前のセブンイレブンに貼られたポスターで開催を知ったとき、「退院したら必ず行こう」と決めていた。そこで花子の春休み入りを待っていったのだ。


そしたらまさかの休館日。失意のどん底



でも深くものを考えないことと立ち直りが早いことが僕の強みだ。僕は何をやっても長続きしない人間なのだが、失意も長続きしない。


六本木ヒルズの中にある「森美術館」に行くことにした。


開催中なのは、「フレンチ・ウィンドウ展 〜デュシャン賞に見るフランス現代美術の最前線」。フランス現代美術で最も権威のあるマルセル・デュシャン賞の受賞者の作品とともに、デュシャン自身の作品も展示されていて「国立新美術館」のカタキがとれた。作品個体というよりも展示空間含めてのデザインが面白く見応えがあった。特に作品につけられたタイトルの意味を分析するのは愉快な作業だった。半分近くわからなかったけど。



同フロア(52階)の「モリアーツセンター」にも足を伸ばした。


開催中なのは「戦場カメラマン 渡部陽一 & 紙の魔術師 太田隆司 展 〜写真とペーパークラフトが織りなす絆の情景〜」


ご存知、ゆっくり喋るヒゲの好漢の写真作品と、半立体ペーパークラフトの雄の異色のコラボ。


「人間同士の絆」がテーマ。なるほどこういうくくりがあったか。ムリヤリの感は否めないが。


渡部さんの作品、暖かい視線で、主に紛争地の子供たちを写している。色物の人かと思ったらどうしてどうして正統派だ。


太田隆司さんの作品はびっくりした。車があり、人がいる風景の半立体のジオラマ(奥行きは5センチくらい)で、時代も場所も車もさまざま。ある作品は「オールウェイズ」のようであり、ある作品は「わたせせいぞう」のようでもある。また僕らが10代の頃憧れた「ダルマのセリカ」「ケンメリ」「ギャランFTO」など、「努力しだいで手が届く名車」たちもよかった。なつかしい。


ま、作者の公式サイトのギャラリーをご覧なさい。


あと、動画も見つけた。




そして展望台からの眺めも圧巻。


遠くがかすんで見える。地球が丸いのもわかる。


こういう風に遠くに霞がかかるのは、日本をはじめとするアジアの天然の風景の特徴だそうだ。西洋、特にイタリアなどの景色はそういう見え方はしない。


だから西洋絵画の景色は遠景までクリアに描かれることが多く、日本においては遠くをぼやかす水墨画や、霞がかかっている絵巻ものなどが発達したという。以上、花子の美術の先生からの受け売りのさらに受け売りでした。


美術鑑賞は体力を使うの腹が減る。仙人じゃないので霞は食えない。そこでミッド・タウンにある「平田牧場」の直営店で、お米で育てた「金華豚」のロースカツ定食を食べて帰った。脂身の美味さ甘さに悶絶。





<今日の一句>


摩天楼 霞食らうか 金華豚