戦友・Kさんに会いに行く。


午後、春風に誘われるように聖蹟桜ヶ丘行きの京王バスに乗って、初めてのバス停で下車して、「日新町」へ。


前々から一度行こうと思っていた戦友・Kさん宅へ。


月月火水木金金病院(仮名)」で同室だった方。僕の約10日後に入院してこられ、僕の約10日後が退院予定日だった。つまり丸3ヶ月以上の裸の付き合いだった。まさに苦楽をともにした。


どうしてもわがままがでがちな入院生活において、常に折り目正しく穏やか紳士的な人だった。


入院中は「リハビリの虎」を標榜し、平素にも増してそれこそ『山月記』の李徴のような狷介不羈ぶりだった僕を、簡単に言えば依怙地で嫌味な若造だった僕を、もう一人の同室者Sさんとともに大きな包容力でやさしく受け入れてくれた。お二人とも二回り以上年上の人生の大先輩だ。KさんSさんを見て「俺もこういう大人(おとな)になりたい。 絶対ムリ」といつも思っていた。


予定通り退院したKさんは、まるでホテルのように瀟洒な高齢者用マンションに入居しておられた。僕は入院中の雑談ででたそのマンションの名前をうろ覚えしていた。たまたま先日の新聞折込チラシに求人が載っていたのでそれに記載の地図に従っていった。


突然の訪問にもかかわらずKさんは歓迎してくれ、話も弾み(僕は基本的に話が弾まない男である)、「月月火水木金金病院(仮名)はすばらしい学校だった」と意見が一致した。また3月に退院したSさんとも連絡を取り合っておられ、元気にされているようだ。


「これからもお互いにがんばりましょう」と言い合って別れた。



なんか原点に帰れたような気がする。ほぼ喜寿の方も「良くなろう」とがんばっておられる。よし、明日からもがんばろう。狷介にならない程度に。





<今日の一句>


戦友は 大人の風(たいじんのふう) 春の風