「画家 岸田劉生の軌跡 油彩画・装丁画・水彩画」(八王子夢美術館)


午後、八王子へ。


おおっと「古本まつり」なんてのをやっている。剣呑剣呑。不意をつかれた。



こういうところで荷物を重くしてサイフを軽くするのは愚の骨頂。素通り素通り。


行き先は甲州街道にまで突き当たり。ユーミンの実家の荒井呉服店



の隣の八王子夢美術館。ビュータワーなる高層インテリジェントビルの2階。



その一階に食品スーパーと共に出店しているのが子供服の店。しかし「こども牧場」という店名はいかがなものか。



なんか、近未来背徳SFのタイトルにありそう(そんなジャンルあったっけ)。


それはともかく八王子夢美術館。開催中の企画展は「画家 岸田劉生の軌跡 油彩画・装丁画・水彩画」



岸田劉生というとまず思い出すのがあの油絵の「麗子像」シリーズ。おかっぱの同級生に「麗子像」とか「週刊新潮」とかのあだ名をつけた経験、誰にでもあるはずだ。



でもこの展覧会、あの麗子像は岸田劉生という多面体のほんの一面であったことを教えてくれる。装丁画、油彩、水彩、墨画、素描、版画などの多様な作品を紹介してくれている。岸田劉生を油の肖像画の画家とだけ思い込んでいた僕としては「蒙を啓かれた」思いだ。


装丁では白樺派の本の装丁を一手に引き受けているし、中国のモチーフを使った作品も多い。「漁樵問答図」や、麗子を昨日紹介した「寒山拾得」の「寒山」に模した「寒山風麗子像」、たくさんの唐子とともにたくさんの麗子が群れ遊ぶ「麗子曼荼羅」、竹林の中で七人の子供が清談に興じる「竹林七童図」(当然「竹林の七賢」へのオマージュであろう)などどれも面白い。


最近毎日書いているが、こんな結構な展覧会を僕だけ無料とは申し訳ない。そこでせめてもの感謝の気持ちとしてミュージアムショップで、「村娘之図」の一筆箋などを購入した。そんなに一筆啓上するところなんてないのだけれど。


会期は5月8日(日)まで。観覧料は一般500円、学生250円。


なに? 次の企画展は天才からくり師「ムットーニ」展と!? これも見逃せないなあ。 5月20日から。


いい美術館だなあ。こういうものがあってちゃんと維持できて活性化していて・・・・・八王子も凄い!! さすが桑都、関東のシルクロードの起点。やはり繊維で栄えた町の文化の層の厚みと伝統は伊達じゃない。うらやましい!! あやかりたい。


八王子夢美術館の公式サイトは下の写真から。


八王子夢美術館
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そうそう、会場で声をかけられたんだ。先日の「つげ忠男展」のオープニングでお会いした青年。マンガ家のまどの一哉さんのお友達と思うのだけどかなり若い人。ことによると10代かもしれない。若いのに礼儀正しい気持ちのいい青年だった。


帰り道、あまり荷物を重くしたくないのだけどしょうがない。これはお決まりの「都まん」を買った。



それと古本まつりで江國滋の未見の本と、イギリスの絵本「One Ballerina Two」。「都まん」で立ち止まった瞬間、心にスキができた。





<今日の一句>


新緑の 桑都に蒙を 啓かれり



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