「くにたち初めて物語」そして「昭和とは」とは


さて昨日の続き。「昭和を考える、南武線小さな旅」の後編。とは言いつつ、昨日はちょっとお古い話だった ( 古代米!!) ので、お約束どおり今日はお新しい話から始めよう。


題して「くにたち初めて物語」から。ありゃ、古い話になりそうな予感。大丈夫、新しい話です。


くにたち郷土文化館を出た僕はグッと北上して矢川駅へ。いや次の目的地、十分歩いていけるんだけど南武線に乗りたかった。


というか、この春めでたく設置された矢川駅エレベータに乗ってみたかったのだ ( ほら、新しい話でしょ)。


なるほど大型だ。ストレッチャーや担架も乗せられる(これ、案外重要なポイント)。でも双子ちゃんのベビーカーともう一台ふつうのベビーカーが乗ったら、ほぼ満杯に近かったかな。


改札も真新しいもの。



改札階からホームに下りるエレベータもある。新装なった駅に「ずいぶん変わったなあ」と感慨ひとしお、と思いきやそのような感興はない。


だって矢川駅使うの初めてなんだもん、国立に40年以上住んでいるけど。そりゃ使わないよ、国立駅前に住んでる人が矢川駅周辺に用事があったら迷わずバス使うもの。


乗車区間はほんの一駅。西国立駅で下車。実は西国立駅も使うの初めて。



行き先は「東京マガジンバンク」。代表は筒見待子。うそ。



都立多摩図書館の愛称。東京都立の文化施設の統廃合の一環で雑誌専門館となった。一般雑誌から学術雑誌まで、約1万6千誌を揃えているそうだ。


そこで開催中の『The・スクープ!〜一枚の写真が伝える力〜』に行ったのだ。同館が所蔵する約16,000誌の中から、「グラフ誌」「写真週刊誌」を中心に、フォト・ジャーナリズムが見つめてきた社会・世相を映し出す雑誌を展示する企画で、三島由紀夫の自決や太宰治の心中、3億円強奪などの事件から、震災や噴火などの自然災害、オリンピック、アポロ月面着陸などのニュースまで、雑誌をテーマごとに分けて展示していてその多くが手にとって見られる。



故あってここ数日、三島由紀夫のことを考えてすごしてきた僕には特に興味深かった。


思ったのは、昔の雑誌はやりたい放題だな、ってこと。今では絶対表紙にならない (できない )ような写真がグラフ誌の表紙となってるんでびっくり。



ここは学生時代に良く使った。インターネットなどない時代だから、ここでの調べ物をソースにレポートをでっち上げたものだ。さすがに往時とはずいぶんと変わっていた。中の様子は下の写真(クリックすると公式サイト)。


東京マガジンバンク
   ←クリック!!


この写真で雑誌が面出しされているところが扉になっていて中にバックナンバーがおいてある。読みたかったけど買い占められて市場から消えたとの噂の某誌の某号を読むことができた。



さて次なる「昭和を考える小さな旅」のポイントは立川。南武線の次の駅で終着駅。南武線に乗ってもいいのだけど、西国立・立川間を電車に乗るのはあまりにかったるいので歩いた。



賑わいを見せる立川南口。ほとんどが男性。服装は黒、グレー。無彩色の世界。ちょっと殺伐。つげ忠男の世界。黒いジャケットにハンチングの僕はすんなり馴染んでいる(はず)。


カオスの中心はウィンズ。つまりは場外馬券売り場だ。僕はとにかく射幸心が低い。社交心も低いが射幸心がとりわけ低い。ギャンブルでまったく熱くなれない。でもこの雰囲気は好き。


よし、この近辺で昼食にしよう。立ち食い蕎麦店に入った。「僕に立ち食いができるか」の実習でもある。いやもちろんできるのだが。



なに食べようかな・・・。やっぱり鉄火場ではカツ丼でしょう。


「ギャンブル」というのは「犬」に似ている。まったく知らぬ初対面同士でもお互い犬を連れているとごく自然に犬談義ができる。ギャンブルも然り。このお店の中でも店内にあるテレビを見ながら、おそらく知らぬもの同士が競馬談議に花を咲かせていた。なにもわからないのにうなづいてるワタシ。


カツ丼は味が濃くボリュームたっぷりで美味しかった。昼間からビールでも飲みたい気分だけど無期禁酒中の身としてはそうはいかない。


「ごちそうさま」と店を出ると親父さんが「いってらっしゃい」と送り出してくれた。



さて、本日の最終目的地は「国営昭和記念公園」。四季を通していろいろな花が咲いている。



いやこれは花ではない。入口近くの、ガードレールの支柱の集積所。墓標のようでもあり、「ムーミン」の「おさびし山」で雷のエネルギーで群生する「ニョロニョロ」のようでもある。


ニョロニョロはともかくとして、昭和記念公園は東京の花の名所である。僕は植物に詳しくないので、野に咲く花の名前は知らない、だけど野に咲く花が好き。


いや、今回は花を見に行ったわけではない。東側の花みどり文化センター内のさる施設に行ったのだ。



昭和天皇記念館」。



「昭和を考える小さな旅」にこの方は欠かせないでしょう。戦争の日々は何も知らない、歴史に疎い僕でもそのくらいのことはわかる。


料金は500円かかるけど、ここは昭和記念公園。在位50年を祝ってできたのがこの公園だから、「昭和天皇記念館」はいわば心臓部。わかりやすく言えば「天空の城 ラピュタ」における飛行石みたいなものだ。


かえってわかりにくい? とにかくこちらがメインなのだから有料はやむなしでしょう。


昭和天皇記念館
  


初めて行ったけどなかなか面白かった。まず最初ににその生涯をダイジェストしたビデオを見せてくれて、数々の遺品やパネル展示に接する。ビデオには、もはや伝説となっている柔道の山下との「骨は折れますか」も収録されている。巧まざるユーモア!!



極めつけは「ロボ」。「ロポ」といっても「狼王」ではない。ましてや「ジャイアントロボ」ではない。


「鹵簿」。


皇帝の行列のこと。昭和三年の即位の礼の際の行列が十二分の一の精巧なジオラマで再現されているのだ。これは見応えあるよ。



それからもうひとつの目玉が、国産初の御料車ニッサン プリンス ロイヤル」の特別展示。



当時の自動車製造技術の粋を集めて開発された国産初の御料車。昭和42(1967)年から最晩年まで使われたもの。その重厚な美しさ。ピッカピカで顔が映りますぜ。




数々の御製にも多く触れることができる。最晩年の作の、


わが国のたちなほり来し年々に  
  あけぼのすぎの木はのびにけり


なんて泣けるなあ。


ここまでご紹介したもののほとんどの画像は同館の公式サイトで見られる。もちろん本物を見て欲しいのだけど、遠方の読者様もいらっしゃる。ぜひ、下の写真から公式サイトに入ってご覧ください。


昭和天皇記念館
   

↑ ↑ クリック!!



一通り見終わった後はその近くで開催していた、NPO法人「立川子ども劇場」の「とびっきりまつり」にツレがスタッフで入っているので顔を出した。



バリダンスを見たり、コンサートを聴いたり、カフェでコーヒーを呑んだりしたあと、また歩いて帰った。



ゴールデン・ウィークの棹尾を飾るにふさわしい、かどうかはわからないけど、「昭和を考える、南武線小さな旅」にはなった。<今日の二句>


薫風が 辺りを払う 御製かな


リハビリは 誰にカツ丼 己 (おのれ) に勝つ丼   (無季)


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