『幸福な生活』(百田尚樹著、祥伝社刊)


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探偵!ナイトスクープ」など多数の人気番組を構成して来た売れっ子放送作家にして、ドラマ化された『永遠の0』、映画化された『BOX』、また渾身の大作『錨を上げよ』で小説家としても近年評価の高い百田尚樹の最新作である。長編が多い作者には珍しい短編集。連作集といってもいいかもしれない。


『幸福な生活』(百田尚樹著、祥伝社刊)


 く幸福な生活


「黒い表紙の本は売れない」のジンクスなどものともせぬ渋い装丁のこの本。18篇の作品に共通するテーマは「家族」。


タイトルどおり家族とともに「幸福な生活」を送る主人公(夫の立場だったり妻の立場だったりこの立場だったり)が、愛する家族(妻だったり夫だったり母だったり父だったり)の中に自分の知らない「秘密の扉」を見つけてしまうことからストーリーは始まる。その扉は「幸福な生活」を暗転させるスイッチである。一気にクライシスに向けて加速する。


そしてこの本には面白い趣向がある。最後の1ページがすべて右ページでたった一行なのだ。一気に読ませておいて、最後のページをめくると一行でギュッとしめる。それは「あっと驚くどんでん返し」なこともあれば、最後に至って「あー、やっぱり」なこともある。


僕の好みとしては後者だなあ。途中、秘密が明らかになっていく恐怖、「幸福な生活」が崩壊する恐怖をじわじわと徐々に味わわせて、最後にストンと落とす。その真綿で締めるような緩やかな恐怖を味わう過程にこそ肝がある。伝統的な恐怖映画の手法でもあるよね。


各作品とも基本的に枠組みは共通ながらバラエティに富んでいる。人称もさまざま。妻の視点もあれば夫の視点もある。


ひとつひとつの物語の分量も寝る前に一編ずつ読むのに適量で、「枕頭の書」として最適だ。きっとイヤな夢が見られると思う。きっとあなたの魂の暗部に垂鉛を降ろし、「黒い明日」を開くスイッチを押してくれることと思う。


 みなさんにもあるでしょう。母の、父の、妻の、夫の「○○のころの話は聞けない!!」って。それは聞いちゃだめよ。あなたの「幸福な生活」を暗転させるスイッチなのだからね。砂のお城を崩すのなんて如何に簡単か。


ユーモアの隠し味がよく効いている。ユーモアが残酷な物語の救いとなっていることもあるし、より残酷さを盛り上げ際立たせている場合もある。なかなかに意地が悪い。


18篇からなるこの短編集、すべての作品を一人の女優の主演で見てみたいと思った(すべてが無理なら一部でもいいや)。それこそ年齢も容姿も職業もパラバラな人物だけど、演技力あるあの人ならオーケーでしょう。たとえば1967年のイタリア映画「華やかな魔女たち」の感じ。


ヴィスコンティパゾリーニ、デ・シーカ等、五人の監督による五編のオムニバス。いずれのエピソードも、シルヴァーナ・マンガーノが、それぞれの「魔性の女」役で主演している(僕はパゾリーニの「月から見た地球」が一番好き)。この『幸福な生活』でそんなの見たいなあ。




<今日の一句>


砂上楼 崩せし夏の 浜辺かな


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