捨てられるもの捨てられないもの

昨日に続いて大掃除。というかゴミ出し。


当館の建物は決して大きなものではない。ただ古い日本家屋というのは収納が異常に大きく、同規模の新しい建物の5倍くらいある。


仕舞ったまま忘れて死蔵したものが次から次へと出てきた。消耗品以外は捨てる。迷った時は捨てる。そのうち使うかもしれないが、「そのうち」は多分、こない。


相当ごみとしてまとめた。量としては東京ドームの……、食堂のゴミ箱三つ分くらい。


思い出があるものが次々と出てくるとその都度手が止まる…なんてことはない。迷わず捨てる。迷ったら、やっぱり捨てる。僕はモノへの執着が薄い。それ以上に整理整頓が苦手。捨てちゃえば整理整頓なんてしなくて良い。


しかし本だけは捨てられない。なんてことがあるわけがない。本も捨てる、雑誌も捨てる。必要な個所だけスクラップ、なんて面倒なことはしない。


今日は思わぬものが2、3年ぶりに出てきた。1975〜77年ころのオートバイのカタログ。何枚かは数えてないが、厚さにして3センチくらいある。


僕は中型限定第一世代。つまり400までしか乗れない。僕の免許では乗れない大型バイクのカタログもある。



「ガイアツ」で大型免許が取りやすくなったのは30歳を優に過ぎた頃だった。


そして小さな可愛いバイクたちのカタログも。



一世を風靡した「ロードパル」はソフィア・ローレンがCMキャラだった。ここにはないがライバルの「パッソル」は八千草薫、妹分の「パッソーラ」は水沢アキだった。


中央で微笑む小林亜星田中健。デブな中年にもスマートな青年にも似合うということか。今でいうと…。言えない。今はお笑い芸人以外、テレビにデブ枠はない。小林亜星のような文化人、芸術家にデブ枠はない。たしかこのバイク「スムース」が売り物でチェーンの代わりにゴムベルトを使っていた。


他に「マメタン」とか「チャッピー」とか「ダックス」とか「ボビー」とか「バンバン」とか。この時代、いわゆるスクーターはない。旧世代の「ラビット」と現在につながる「タクト」系発売までの端境期。



そして忘れちゃいけない商用車。世界で一番愛される「スーパーカブ」系。




ホンダが「スーパーカブ」ならヤマハは「メイト」、スズキは「バーディ」。


テレビでCMもやってたとよね。


「乗ってる乗ってる乗ってる乗ってるヤマハメイト
乗ってる乗ってる乗ってる乗ってるヤマハメイト

ヤマハメイト ヤマハメイト メイトに乗れば安上がり」


いしだあゆみが歌っていたとも聞くが未確認。



替え歌もあったたよね、



「乗ってる乗ってる乗ってる乗ってるウチのとーちゃん」


スーパーカブ」は覚えてないけど、かホンダのバイク全般のCMがダーク・ダックスだったよね。





そして「スズキ・バーディ」のCMは谷啓さんだった(なぜ谷啓だけ「さん」付け)。




そして僕が乗ったスズキGT380のカタログ。



スタイルに惚れ込んで買ったけど、欠点が多いバイクだったなあ。曰く、

    • 始動はキックのみだったけどかかりにくい。
    • ハンドルのベアリングがすぐにつぶれてストレスフル。
    • 3気筒のうち1気筒がよくお休みしていた。
    • 燃費が悪い。リッター15キロしか走らなかった。


そんな欠点も愛嬌だった。


僕のGT380、通称「イヨマンテ」号では東北一周ツーリングにも複数回行った。


工事で国道が閉鎖されて、重いサンパチで会津の檜原湖から米沢までダートの峠越えをした時はきつかった。振動でリアキャリアにつけてたタイヤバンドーが破裂して白布峠に白い泡をまき散らした。


初めて見た日本海。多分、山形県酒田市。か鶴岡市


今夜の宿の前で。多分、新潟の長岡。か三条。


その頃は田中角栄の全盛期。少年らしい、つまり青臭い正義感にあふれていた僕にとって角栄のおひざ元であるここ旧・新潟3区のこのエリアは悪の帝国だった。敵地に乗り込むような緊張感とともにバス停に一泊したのだが、翌朝出会った夜明けとともに働き出す農家の人たちは誰も親切で、「ガソリンがなくなったのか」と心配してくれ、「一仕事したら家に帰るから朝飯を食べていけ」と声をかけてくれた。


悪の帝国どころか神か天使の里だったので、僕のアイデンティティは崩壊した。



写真の風防はこのたびから帰った後はずした。普通の人なら体に直接あたる風を防いでくれるけど、座高の高い僕だとこの風防によって集められた風が全部顔にあたり首が疲れるのだ。


ご覧のように上のカタログと同型同色だったのだけど、その姿だったのはたった3年だった。


3年経ったある夜、タンクとシートが盗まれたのだ。


売店にタンクとシートをオーダーしたらもうその年式のは在庫がなく、翌年式のものをつけることになった。変わり果てた姿となった。


ところで「イヨマンテ号」の命名の由来。セルバンテス好きの友達がバイクに「ロシナンテ」という名前を付けて愛でているのを僕がうらやましがったら、同級生の浅沼一彦(現・舞台演出家)が、


「じゃ、お前は“イヨマンテ”にしろよ」


命名してくれたのだった。浅沼はきっと覚えちゃいないだろうがね。






ところで上のバイクのカタログ群、とりあえず捨てる予定はない。これだけまとまればネットオークションに出せると教えてくれた人がいたから。


なに、大した金額にはならないだろうけどね。お金を持ち出されると簡単になびく。僕はモノへの執着が薄いかわりに、おカネへの執着は強いのだ。


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