2017山谷夏祭り

今日は「2017山谷夏祭り」に行ってきた。労働者の町・山谷の年に一度の夏フェス。いつもお世話になっている中川五郎さんに加え、大好きなジンタらムータも出るというのだ。



馴染みのない町ではない。会場の玉姫公園は台東区清川2丁目。隣接する清川1丁目の靴工場「S工業」が大学時代の僕のバイト先だった。4階の作業場で僕は腕は悪いが口数の多い仕上げ工だった。


ちょっと早めに出て「S工業」に寄ってみた。会社はまだやっているだろうか。35年近い年月がたっている。


同じ場所に社屋はあった。でも様子がおかしい。



なんかうっそうとしている。


果たして小さい会社が集まる今どきのビジネスビルになっていた。壁には不思議な壁画が描かれ、往時、納品するバンが尻をつっこんでいた搬出口はお洒落ならせん階段が設えてあった。


唯一往時をしのぶのは外壁の片隅に埋め込まれたまま緑青の浮いた「S工業」の銘板だけだった。


35年という日々はあまりに長い。僕は大学生活終わりの就職活動で5社の内定をいただいたが、今現在も存在するのは一社だけだ。


大学4年の夏休みのバイトでの社長との会話を思い出す。真っ赤なアウディに乗っていた。容貌は宍戸錠と田中浩(腕白でもいい)と内田良平(黒龍会じゃないほう)を足して3で割ったような容貌の漢だった。


「お前、就職は決まったのか?」


いえまだ。○○社と××社の内定はいただいているんですが・・・。


「そうか。もしお前がオレの弟だったら××社の方を薦める。男ならモノを作れ。ただ流すんじゃなしに。それでもしうまくいかなかったらうちに来い」



「S工業」跡と玉姫公園は指呼の間。ちょうどお祭りが始まるところだった。


ここから先は撮影禁止。いろんな事情を抱えてこの街にいる人もたくさんある。不用意な撮影が新たな不幸を呼ぶこともあるのだ。


祭りの最初はこの1年で亡くなった仲間の追悼式から、僧侶と牧師が両方来てお互いの儀式にも参加する。牧師が般若心経を唱え、僧侶が讃美歌312番「いつくしみふかき」を口ずさむ。とても心温まる風景だった。


ポリバケツからひしゃくで酌むウーロンハイで乾杯。


4トントラックの荷台のステージはジンタらムータから。


まずは福島民謡の「相馬盆歌」、沖縄民謡の「ひあみかち節」、そして「お祭りマンボ」。不幸なエンディングを明るく改作。このほうがいいや。


ジンタらムータの演奏を聴いていると楽しくて体が自然に動いてくる。身体全体がリズムを刻みだす。


もちろん僕だけではない。効率よくデキ上がった女性が前に出て踊りだした。おじさんも踊りだした。


続いて十八番「不屈の民」〜「平和に生きる権利」




ステージを下りるジンタらムータを見ていた隣席(と言ってもブルーシートに体育座り)のおばさんが僕に声をかけてきた


「ねえねえお兄さん。今の楽団はなんていうの?」


ジンタらムータです


「ギンタムンタ?」


いえ、ジ・ン・タ・ら・ム・ー・タです


「ジンタン?」


ほら、手に持っておられるパンフレットのそこですよ、ジンタらムータ。


「あらこれがそうだったの。なんかいいねぇ。うん、いいねえ」


ね、いいでしょ(と俺が胸を張ることもないのだけど)。


続いてSWING MASA。サックスプレイヤーにしてシンガー。共通の知人が沢山いるようだが今のところ縁が無い。獄死した大道寺将司を追悼する「明けの星を見上げて」が素晴らしかった。


退場する時楽譜が一枚、風に煽られステージ下に落ちた。先ほどの隣席のおばちゃんは見逃さない。


「ちょっと拾ってあげなさいよ」


え、俺がですか。


杖にすがって立ち上がりヨロヨロと楽譜を拾い、ヨレヨレとMASAさんに手渡しユラユラと席に戻ると、


「なんか悪かったわねぇ」


いえいえ。



そしていよいよ中川五郎さん。どんな大きな動きも最初は一人のちっぽけな一歩であることを歌った。「一台のリアカーが立ち向かう」から。



次は某国首相の欺瞞に満ちたスピーチをそのままうたにした「スポーツ・フォー・トゥモロウ」(安倍晋三作詞・中川五郎作曲)




あれ? 踊りの人数が増えて来たぞ。


ここからはSWING MASAとジンタらムータも加わってセッション。ディランの「アイ・シャルビー・リリースト」


アンコールはディランの「風に吹かれている」。会場皆でシングアウト。


五郎さん、汗ピッショリの大熱唱。会場のあちこちに踊っている人、ランニング姿になって腕立て伏せをする人も。


大盛り上がりのエンディング。


続いては盆踊り。みんなで輪になっておどりましょう。


どこかのエラい人がラジオ体操は日本人のDNAに云々と言っていたが、それはこっちでしょう。聴いているだけで身体が動き出す。田舎に帰りたくなる。


帰る田舎など無いというのに。





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