昨日は、日記を書いた後、片岡愛之助丈の公式サイトに行き、書き込みをしてきた。
我ながらミーハーである。
愛之助丈のBBSで僕の前に書き込みをされたのは、HN「岐阜の地芝居素人役者」という方。それを見てつい「僕も地歌舞伎好きなんです。自サイトでも紹介してますんで遊びに来てください」などと調子の良いことを書いてしまった。
でも僕のホームページの「地歌舞伎」のページは、写真と簡単なキャプションだけで、工事中のまま。
このままでは申し訳ないので(誰にどう申し訳ないのだ)、地歌舞伎のことを少し書こうと思う。
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大学の頃、僕は歌舞伎研究会に入っていた。当時は今のように若者が歌舞伎を見たりはしない古典芸能冬の時代だったが、いくつかの大学には歌舞伎研究会があった。それらが集まった親睦団体が「関東学生歌舞伎研究連盟」だ。大仰な名前だが、まじめに研究して論文を出しちゃうような大学もあれば、自分たちで歌舞伎をやっちゃう大学もあった。
年に何度かあった「関東学生歌舞伎研究連盟」略して「研連」(自民党みたいだね、どうも)の飲み会でのことだ。
T大のA嬢が言い出した。
「岐阜県の瑞浪で美濃歌舞伎があるらしいの。江戸時代の古い芝居小屋を使って。わたし、行ってみたいんだけど、誰か一緒に行く人いない?」
ふだんから皆で歌舞伎を見に行くようなことはよくあったが、それは歌舞伎座や国立劇場。岐阜県とは思いもよらない。それに美濃歌舞伎って?
「知らないの? 歌舞伎って東京は大阪の大歌舞伎だけじゃないの。全国に地歌舞伎とか地芝居とか言われる歌舞伎があるの。もう絶滅したのも多いけど、瑞浪の美濃歌舞伎は健在なんだって。ゴルフ場の社長さんが古い芝居小屋を移築して、社員さんたちに芝居をやらしているんだって」
20人ぐらい歌舞伎好きの若者が集まった宴である。その話題で大いに盛り上がった。おもしろいねー、まだ残ってるんだ、へぇすごいねぇ。で、それいつやるの。
「しあさって」
(シーーーン)。急すぎるよ。
「だって今朝の新聞に載ってたんだもの(プンプン)」
急だし遠いしお金はかかるし、行けるのはよっぽどの物好きかお調子者だよ・・・。
で揃ったのが言いだしっぺのT大のA嬢、高級官僚の御曹司K大のY君、日本舞踊の名取M大のK嬢。そしてお調子者といえばこの人、20歳の蕃茄山人だった。
言い出しっぺのT大のA嬢は思いつきはいいのだが、旅程を考える才能は皆無な人なので、プランニングは股旅男の蕃茄山人が立てた。山の中のゴルフ場にある芝居小屋だ。車で行くしかない。御曹司Y君に愛車・スカイラインを出してもらい蕃茄と交替で運転することにした。時は1981年10月31日。
その敷地の片隅に芝居小屋「相生座」はあった。今は香川の琴平座が有名だけど、当時はこの相生座のほうが有名で、猿之助丈が「蝋燭芝居」をやったこともあるという。本当は消防法の関係でできないのだけど、それは地方のこと。なんとかなったという。
それから戸板康二の「名探偵雅楽」の「奈落殺人事件(うろおぼえ)」をここでロケしたこともあったとか。主演はもちろん中村勘三郎丈。
とにかくその劇場での地芝居見物だ。その日は実は地元の老人会の慰安観劇会だった。勧進元の日吉ハイランドが地元のお年寄りを招待してお芝居を見せるというイベントだ。そこに車で乗り付けた若造4人が入り込んで芝居を観ようという図々しい魂胆なのだ。大丈夫なのか。
(長くなったので続く・・・・・)