ほんやらなまず句会11月例会 1

ああ、12月にはいってしまった、いかんいかん。

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国立には「ほんやらなまず句会」という名前の俳句の会がある。

 毎月1回、国立東の画廊喫茶「キャットフィッシュ=エソラ」に集まり、元・「MORE」「コスモポリタン」編集長の宗匠・二庵氏を中心に運営され、僕もその末席を汚している。「ほんやら」は国分寺にある歌手の中山ラビさんの店「ほんやら洞」のほんやら、「なまず」は「キャットフィシュ」のなまず。両方の常連が基本の句会だ。

 先日行われた11月例会の兼題は、「便り」「秘密」。
 そこで出句した自作をご披露。


    百年の無心の便り秋時雨

    
    明かしたき秘密や今朝の温め酒


    大賢は大愚に似たり秋の空


介錯と干渉】
第一句  先日、岩波書店から『岩波茂雄への手紙』という本が出た。岩波書店の創業者・岩波茂雄に読者、著者から送られた手紙を集めたものだ。その中には著名な文学者からの金の無心もある。古い手紙が出てきた感傷を秋時雨に重ね合わせた。本当は岩波書店は創業90年。100年にはチト足りない。

第二句  朝っぱらから温め酒とは尋常ではない、穏やかではない。何か艶っぽい秘密がありそうだ。そういう秘密って、本当は本人もしゃべりたいもの。ちょっと水をむければ、「いや実はさぁ、参っちゃってさぁ。でへっ」となるものである。

第三句  「大賢は大愚に似たり」という言葉がある。広辞苑によると「非常に賢い人は、知識をひけらかさないから、ちょっとみたところ愚かな人のように見える」という意味だ。僕の友達にもいる。いつも秋の空のように大らかでニコニコと機嫌よく過ごし偉ぶったところはひとつもない。でも話してみると、その言葉には千金の重みがある。そんな人のことを想いながら詠んだ。


  明日は引き続いて、朋輩たちの佳句・秀句を一気にご紹介