くにたち児童劇団公演「11匹のネコ 夢を追いかけて!」


 くにたち児童劇団公演「11匹のネコ 夢を追いかけて!」に行ってきた。
  
 その劇団に長女・花子(仮名・小4)も所属していて、今日出演するのだ。

 児童劇団なんていうと、新聞のテレビ面の左下のほうに乗っている広告を思い浮かべる方も多いと思う。こまっしゃくれた作り笑顔の下に「さんまのまんま出演中」とかキャプションがついてるやつ。

  
 言葉が悪いね、どうも。反省。可愛いお子さんの天使のような笑顔の下に「てるてる家族出演中」とかキャプションがついてるやつ。

 違うのである、「くにたち児童劇団」。市の児童館のサークル活動だ。だからすべて手作り。今回のお芝居のシナリオを書いたのも児童館の指導員の方。つまり市職員だ。

 ストーリーは夢のない生活をしている街の野良猫11匹が、夢を求めて南の海にイカダを漕ぎ出す・・・・という冒険ミュージカルだ。


 そのネコたちも個性的だ。元・船乗り、元・教師、元・ダンサー、元・料理人などなど。

  
 と、ここまで読んで、なんか連想しない?

 そう、正解。斎藤惇夫冒険者たち』。ガンバと仲間たちの冒険だ。
超・個性的な仲間が集まって大海の向こうを目指して大冒険を繰り広げるという共通点がある。

 でも、何か違うんだな。もちろんガンバはネズミでこちらは猫。それも大きな違いだ。

 でもそれ以上に大きな違いは、『冒険者たち』が「イタチのノロイに蹂躙されるネズミたちを救済する」という明確な目的があっての冒険なのに対して、「11匹の〜」は「夢」という曖昧なものを求めて「こことは別などこかへ」向かうというところだろう。
   
 もちろん両方とも素敵なのだけど、「11匹の〜」の方が今の若者の気分にはマッチしているかもしれない。

 猫を演じる役者さんは、みんななかなか芸達者でそれぞれの猫のキャラクターを見事に際立たせている。キャスト表を見て納得。難しい猫の役はみんな6年生のベテランだ。

 
 花子は猫のうちの何人かが漂着する島の住民の役。役作りはゴーギャンタヒチの女か。前回は自分が台詞を言ってないときの集中力が問題だったが、今回は少しよくなったかな。「素」に戻っちゃう時間がずいぶん短くなった。

 職業や習い事としての児童劇団じゃないから、ちょっと学芸会っぽいところはあるにはある。でも目的として「すべての子どもを均等に見せる」ことより「お客さまにいいものを見せる」ということが大きいところが学芸会とは大きく離れる。だから学芸会のように一人の役が場面ごとに役者が変わったりすることもない。竜宮城に乙姫様が10人並んでいたりすることもない(別に学芸会を批判しているのではない。学芸会はあれはあれで良いと思う。つまり目的や役割が違うと言うこと)。

 
 それにしても指導してくれている児童館の職員の方々の頑張りには本当に頭が下がる。僕ら民間企業の従業員はよく知りもしないで、公務員の方々の仕事っぷりに批判めいたこと、いや批判は良いんだけど揶揄めいたことをつい言ってしまったりする。

  でも、この芝居をみたらそんなこと口が裂けても言えなくなっちゃうな。「仕事」と9時5時で割り切ったら絶対作れないものだもの。大きな花束を児童館の人にあげたいくらいだった。


  カーテンコールが終わり、また幕が下りた後、舞台から「ヤッター!!」「ワーイ!!」「バンザーイ!!」「サイコー!!」等の嬌声とピョンピョン飛び跳ねる音が聞こえた。それが今日の彼女たちの気持ちをもっとも的確に表したものだろう。

  今、「彼女たち」と書いた。そう全員が女の子なのだ。今回はミュージカル仕立てだったから、「くにたち少女歌劇団」という感じかな。


   上はカーテンコールの写真。今、流行の「ネコ耳の美少女」が並んでて、「MOF担」ならぬ「萌え担」を呼び寄せてもいけないので極小画像にて。