浮世絵と越後の銘酒

今日は久しぶり、多分10年ぶりくらいで女流義太夫の鶴澤寛也師匠のお宅に伺った。寛也師匠については、たびたび書いているので解説はいるまい。僕の古い友達だ。

  その寛也師匠が先日デビュー20周年を迎え、リサイタル「はなやぐらの会」を催したことも書いた。
  
  で、そのデビュー20年のお祝いの品を持って行ったのだ。

  今日、僕は一人で行ったのだけど、お祝いの品はエッセイストの坂崎重盛さんと僕の連名だ。

  でも、これを連名といってしまっていいのだろうか。

  上のリンクにも書いたけど、このリサイタルでの演目は義経千本桜「河連法眼館の段」。いわゆる「四の切」。狐忠信だった。そこで浮世絵のコレクターとしても知られる坂崎さんがそのコレクションの中から狐忠信の浮世絵版画(明治30年製)を寛也師匠にプレゼントすることになったのだ。

  で、それがどうして連名なのか?

 額装を僕が担当したのだ。それで連名なのだ。実に申し訳ない。ほとんどタダ乗り。

  額装は坂崎さん行きつけの額縁屋さん、神保町すずらん通りの「清泉堂」さんにお願いした。坂崎さんはこのお店のことを朝日新聞の連載「TOKYO老舗・古町・散歩」でも紹介している。


  そういうわけで、4月16日に坂崎さんと神保町に行ったのだ。

  額装は僕が担当したので支払いは僕がした。なに大した金額じゃない。それどころかそのあと坂崎さん行きつけのバーですっかりご馳走になってしまった。野暮な話で恐縮だけど、額装代よりよっぽどかかったと思う。

  坂崎さん一人で贈ったほうがはるかに簡単なのに若輩の僕を混ぜて連名にしてくれる・・・・、これが坂崎さんの優しさとシャイネスだ。いかにも東京っ子らしいメンタリティ。

  
  そんなわけで、今日、寛也師匠のお宅にお届けした。

  明治の最も爛熟した時代の浮世絵。まさに精緻を極める作品だ。しかも今回の記念すべきリサイタルの演目である狐忠信。もちろん寛也師匠は大感激だ。


  帰りには寛也師匠に「お駄賃」をいただいてしまった。越後の銘酒「雪中梅」である。一升瓶。実は寛也師匠は「雪中梅」の蔵元の直系なのだ。


  それにしても浮世絵を持ってちょっと動いただけで、2回も美味しいお酒にありついてしまって、ありがたいやらもうしわけないやら・・・・。