普通のトンカツを食いたい
職場の食堂に入っている業者さんはなかなかのものだ。
特にトンカツが旨い。系列でちょっと高級なトンカツ屋さんも経営しているらしい。
新メニューの開発にも積極的だ。特に年に何回かある某女子大の栄養学科の学生さんが実習に来たときの「実習生メニュー」などは驚天動地でどっか別の不思議な宇宙に連れて行ってくれる。
そしてトンカツである。ふつうに供してくれればサクサクしてて旨いんだけど、つい実験の虫が蠢くらしい、なかなかそのまま食べさせてはくれない。
曰く、味噌カツ、カツ煮風卵ソースがけ、中華あんかけ載せ、などなど。
今日は、おろし柚子ソースがけだった。
ああ、ふつうのトンカツを食いたい。カツ自体はおいしいのだ。
なかには剛の者もいる。
「味噌カツ、味噌抜きねー」
「あんかけ、いらないから」
などとリクエストしている。
ああ、俺には言えないよなー、作った人に悪くて。
今、書いたように、今日はおろし柚子ソースがけだった。
「ちょっとスッパイね」などと言いながら食べていたら、かの剛の者がトレーを持ってやってきた。
「うぃーっす!!」と、ドッカリ腰を下ろした剛の者は、「ヒレカツのおろし柚子ソースがけのおろし柚子ソース抜き」にジャボジャボとソースをかけて、モリモリと食べ始めた。
なんか、すごくおいしそうでうらやましかった。