寄席はいい!!

朝から雨降り。寝不足で憂鬱。電車に乗ったら中央線名物の故障で遅延。
職場に行ったら行ったらでいろいろ思うように行かない。眉間の皺が深くなる。

何が悪いのだろうか? 何が足りないのだろうか? ただただ眉間の皺が深くなる。


そうだ、寄席が足りないのだ!! と思い立ち、仕事をうっちゃって池袋に走った(正確には走ったのは地下鉄。僕は立ってた)。


ただ仕事をうっちゃったと言っても、うっちゃったのは残業を一時間やってからである。ああ小市民。

池袋演芸場7月上席の客席に着いたのはちょうど大真打・三笑亭笑三さんが引っ込むところ。残念、聞き損った。

今日の出演者は女流が多い。仲入り前の春雨や雷蔵さんを除けばこの後は全員女流だ。

漫談の新山真理さん、春風亭鹿の子さん、自称・講談界の吉永小百合こと神田陽子さん(サユリ様かどうかはともかく美貌なのは確か。生稲晃子に似てる。いや生稲が陽子さんに似てるのか)

そしてお目当ての江戸家まねき猫さん。実はまねき猫さんのホームページで出演を知って今日、行ったのだ。主任(トリ)は好青年・桂右團治師匠。

新山真理さんは職場に一人はいるムード・メーカーのベテランOLのような風情。ご老体が多い楽屋風景の描写で笑わせる。

若さ溢れる鹿の子さんは故・柳昇門下らしく新作落語。主人公はやはり「田中くん」と「課長」。泣かせる。タイトルは知らないがカラオケボックスをモチーフにしたサラリーマンネタ。あの調子の外れた歌はネタなのかマジなのか。どちらにせよ貴重。

女の一代記で人気の陽子先生は、いくつかの古典のサワリを聞かせた後、「与謝野晶子」。これを聴くのは2回目。晶子と登美子の確執がリアルで迫力がある。でも時間が短かった。次はもっとたっぷり聴きたい。特に「君死にたまうことなかれ」のあたりを。

今宵のまねき猫さんは爽やかかつ鮮やかな黄色の着物。ちょうどプレーンオムレツくらいの色。だからまねき猫さんが着ているとプレーンオムレツに見える(なんのこっちゃ)。演目は「音入り枕草子」。枕草子の暗誦に動物や虫の鳴き声を織り込む雅なネタだ。幽玄の趣があって、いつもつい「ほぉーお」と感心してしまう。

トリは桂右團治師匠。さっき、好青年と書いたがれっきとした女性だ。落語芸術協会初の女性の真打で、しかも早大卒の才媛。歯切れがよくって姿がいい。

ネタは「試し酒」。大酒のみの豪快な噺だ。大杯で五升酒を飲む仕草がいい。見ていると胃に膨満感を覚えてくる。


大いに笑って池袋の雑踏に立ったときには眉間の皺は消えていた、と思う。うん、寄席はいいな。寄席はいい、寄席はいい、といっても僕は・・・・・、

敏いとうの回し者ではない。