【初日 その⑦】
「甲斐の国 風林火山博」ではじっくり見学&買い物をしたので、会場を出たときは大きく日が傾いていた。宿へ向かう。現・笛吹市、元・石和町の「スパ△ンドホテル○イトー」である。いわゆる「宿泊できる健康ランド」。ホテルとスーパー銭湯が合体したものだと思っていただければ間違いない。
14種の風呂に四つの飲食店、各種マッサージ、大広間では大衆演劇の公演もある(芝居は昼間なので僕たちは見られない)。もちろんカラオケやゲームセンターもある。一通りのアミューズメントが揃っている施設だ。
チェック・インの直後に入浴。風呂上りに体重を計る。あれっ?
それから夕食に行った館内の大食堂の入口脇の鏡を見る。あれっ?
数年前、温泉に混ぜ物が加えられた事件が多く発覚した騒動があった。温泉捏造疑惑だ。温泉探偵こと(いつから?)蕃茄山人は、ここ石和温泉においても一つの疑惑を感じた。それは・・・。
泉質のことではない。ここの施設は石和エリアにあっても温泉ではない。沸かし湯だ。正々堂々とそう明示している。
問題は体重計である。やけに軽いんだなぁ、これが。
旅行中は飽食する。やたら食う。名物があれば食う。名物がなくても食う。いつもより余計に食って飲む。それなのに目方が増えてないのだ。そうなると・・・・。
いつもより一杯多くビール飲んじゃおっかなー
となるのである。そうなると売り上げに貢献しちゃうのである。
そして大食堂の入口脇の鏡に映った自分の姿。ちょっと細身なのである。結構スマートじゃん、ジャグジーの効果? そうなると・・・・。
いつもより二杯多くビール飲んじゃおっかなー
となって、売り上げに貢献しちゃうのである。いやまさかに縦長に見える鏡などあるまい、と思って試しに顔を横にしてみたら、微妙に歪むのである。
ウーム、これは怪しいぞ。さっきの体重計と言いこの鏡と言い・・・。怪しい怪しい、もう一ぺん顔を横にして・・・とやっていたらツレが通りかかった。
「そんなところでなにやってんの?」
えーと、オサムちゃん、でーーーーっす!!
とは言わなかったが、心の中では「あれぇ?」と思っていた。