「中村京蔵舞踊の夕べ」−海人二題−

嵐の中、南青山へ。

大学時代の先輩で歌舞伎役者の中村京蔵さん(ビジネスソフト「勘定奉行」のCMキャラでも有名)のリサイタル「中村京蔵舞踊の夕べ−海人二題−」へ。青山の銕仙会能楽研修所舞台にて(昨年も同じ場所で「山月記」]を上演された)。

今回の演目の「海人二題」。「海人(あま)の珠取伝説」、香川の志度寺に伝わる「志度寺縁起」を下敷きにした舞踊二種だ。

ストーリーは〜〜藤原不比等龍神から宝珠を取り戻す為に行った土地の海人(あま)と契り一子をもうけます。そして海人はその子を藤原家の後継に定めるという約束と引き替えに、死を賭して海に潜り龍神と対決、見事宝珠を奪還するも落命。そして幾星霜。成長した一子は大臣に栄達しこの地を訪れる。そこで出会うのが母の亡霊・・・というお話。

第一部が地歌にあわせて舞う「珠取海女」。第二部が謡曲と竹本を地に、歌舞伎舞踊狂言のコラボレーションの「志度之浦別珠取−しどのうらわかれのたまとり−」。海女は当然、京蔵先輩で、息子の房前の大臣が狂言和泉流の高澤祐介さん。

面白かったなぁ。特に第二部での京蔵先輩の素敵なこと。哀しく切ない母の愛情がたっぷり丁寧に描き出されていた。今回は早めに行って最前列で見られたので特にそう思った。

照明もよかったなあ。ラストで松羽目に映し出される海女(京蔵先輩)のシルエットの美しいこと。

会場ではこの夏、『吉原手引草』で直木賞を受賞された松井今朝子さんにも挨拶ができた。松井さんは同時期に早稲田の歌舞伎研究会におられて京蔵先輩の大親友。京蔵先輩の会ではかならずお会いする。

また京蔵先輩と同期のサカエ先輩、イズミ先輩にも夏以来でお会いできた。それにしても凄い雨。「これは龍神の祟りに違いない」と言い合った。

それにしても門閥の世界に飛び込み不断の努力で地歩を築きつつ、その中に安住せず次から次へと新しいことにチャレンジする京蔵先輩は凄くてかっこいい。これからもずっと応援させてください。