越南点描〈7〉 ベトナムの犬料理


ベトナムでは犬料理が食べられることが有名である。この旅の前後にも幾人かの人に、「犬料理食べて来いよ」とか「犬料理、どうだった?」などと言われた。もっともこのベトナムの犬料理、ベトナムといっても全土ではなく北部のハノイ周辺のほうの風習だ。


ベトナム戦争が終わったらサイゴンホーチミン)から犬がいなくなった」


というジョークがあるくらい。つまり「ベトナム戦争」というのはある意味、北部ハノイ政権と南部サイゴン政権の「南北戦争」だった。北部ハノイ政権が勝利してサイゴンに進駐しサイゴンホーチミンに改名した、という見方も出来る。


そんなことから、犬を食べる習慣のある北部人が南部にやってきて南部の犬が食い尽くされてしまった、というブラックジョークだ。なるほどどこの国でも南北問題というのはあるのだなぁ。



それはともかく今回のツアーにおいては幸か不幸か犬料理を食べる機会はなかった。またもちろんホーチミンに犬がいないなんてことはなくて、ペットとして可愛がられている犬は街中でたくさん見かけた。犬を飼っている人は結構多そうだった。


ところで今回、僕はたくさんの缶詰を買って帰った。中部の古都・フエのスーパーマーケット「サイゴン生協フエ店(直訳)」にて。


牛肉、鶏肉、豚肉などの加工品を約10個ほど。肉食獣である子等へのお土産としてである。パッケージに「BEEF」「CHICKEN」「PORK」の英文字が散見できるものを選んだ。詳細はベトナム語なのでまるっきりわからない。


ハム・ソーセージが大好きな次男・三吉(仮名・小6)などは、大好物の「SPAM」に似たパッケージ写真を見て大喜びだったが、長男・虎太郎(仮名・大1)が微妙な顔をしている。ん? どうした?


「なんか、ドッグフードみたいな缶だよね」


バ、馬鹿を言っちゃいけない。ちゃんと食料品売場で買ったわい。もちろんベトナム語は読めないので食料品売場とペット用品売場が隣接していなかったと言う保証はないが・・・・。


ベトナムに行って “犬料理” を食べずに “犬用料理” を食べた」、というのもなかなか楽しいエピソードではあるが自分では実践したくない。