昨晩は21時からテレビで「男装の麗人 〜川島良子の生涯」を鑑賞。原作は村松友視著『男装の麗人


 男装の麗人

なかなか面白かった。全編通して語られていたのは、芳子の「孤独」だった。


満洲マニアの僕は川島芳子に関するものは大抵みる。本でもドラマでも。今回の村松先生の原作本はもちろんである。かと言って目が肥えてるとか舌が肥えてるなんてことは一切ない。うるさいことは言わない。悪食である。

川島に関する本は存在自体が、はっきり言ってしまえば一種のトリックスターなので難しい歴史書学術書はない。ほとんどがエンタメ系ばかりで読みやすいので川島が登場しそうなものは結構読んでいる。下の五冊はどれもお勧め(詳細は写真をクリック)。

男装の麗人・川島芳子伝 
 清朝十四王女 川島芳子の生涯 
 評伝川島芳子 男装のエトランゼ 
 李香蘭私の半生 
 「李香蘭」を生きて

芳子の青年期を演じた黒木メイサ熱演。ただ美貌が過剰。上の写真を見てもわかるように芳子は凡庸な容姿で決して美人じゃなかった。

仲村トオルは好きな役者なんだが、甘粕には10年早かろう。李香蘭山口淑子)の堀北さんも10年早い。上の表紙写真の若き日の大鷹淑子先生の凄絶な美貌を見よ。

高嶋弟のラストエンペラーはよく似ている。ちなみに劇中で中村雅俊が演じた小説家のモデルは村松先生の祖父君で、当時の大通俗作家・村松梢風である。

晩年の淑子を演じたのは真矢みき。ところで芳子が収容される獄舎のセットがチャチと思う。コンクリートの質感や重量感がなくてベニヤにペンキを塗ったような質感。そうまるで芝居の書割のような、と思ったところでふと気がつく。

そうか、そうだったのか。あえて芝居の書割のようなセットを設えることで、宝塚の男役スターだった真矢の演技を際立たせる狙いだったのか。たしかに真矢の大きな演技はリアリティある獄舎の中より、書割の前の方が美しく映える。うーーむ、脱帽。


そんな能書きをタレながら見ていたので家族は皆離れていって、十分、孤独を味わいつつ見られた。