瀋陽、右往左往嗚呼、あじあ号。ついに。
キリ番プレゼント。次は「11111」。前後賞つきね。自己申告で。よろしく。
・・・・・5月4日(3日目)の旅日記<10>・・・・・・
ずっと憧れていた「あじあ号」。
その雄姿を写真で見るたびに思い出すものがある。鉄人28号だ。
「クラスの男子」というものは、「鉄人派」と「アトム派」に二分できるものである(あと「馬場派」と「猪木派」にも。えっ? それ以外? そういう上品でお利口な人は「クラスの男子」という種にカウントする必要なし ←偏見)。
僕は圧倒的に「鉄人派」だった(そして馬場派)。重々しい曲線のフォルム。深い思慮を湛えた佇まい・・・。どれも「あじあ号」と共通のものだ。そして上の写真ではブラックに見える塗色も青だったという。これも共通。
その憧れの「あじあ号=パシナ」が僕の目の前に姿を現そうとしている。いや、「静態保存」だから姿は現さない。僕のほうが動いて会いに行く。
そういうわけで、白シャツ氏が示した敷居のラインまで進み出た。ドアを全開する。
あじあ号がその重々しい姿を現した。うん、やっぱり姿は現した。
扉のほぼ正面である。「長八の宿」の「じっさん」に言わせれば、
「どのへんもあにもおめ 真正面に・・・ デーンさ」
である。
大きい・・・・。そしてカッコイイ。想像以上に明るいカラーリングで、「鉄人カラー」というより「ドラえもんカラー」。でもカッコイイ。特に動輪のたくましさ・・。
圧倒された。
圧倒されて、気圧されて、思わずたたらを踏んで、二、三歩前に踏み出してしまった(おいおい)。
強力な磁力に引き寄せられて、至近距離まで近づく。警備員さんたちも、僕の背後でピッタリガードをしているが、もうとがめだてしない。
照明が無く、窓と天窓からのほのかな自然光だけなので、後部のほうはかすんで見えない。
「あじあ号」以外にも多くの機関車たちが静かな眠りについていた。
三吉は機関車には全く興味を示さない。あいかわらずクロスボーをいじくっている。
男子と言うのは基本的に武器が好きな動物である。また、警備員Aさんが三吉に聞いてきた。
「坊や、それ、どうやるんだい?」
あ、どうぞ。やってみてください。
「えーっと、こいつを引っ張るんだよな。あれれ?」
こうやるんです(ト、三吉が指導)。そう、そうやって引っ張って、そこに矢を引っ掛けて。
「あ、こうか・・・」
そう、それで引き金をひくんです。
「・・・・。いや、ここで撃つわけにはいかないよ(笑)」
などという和んだ空気の中、鉄の扉から半径2メートルぐらいの間で見学させてもらっていたが、さすがに白シャツ氏が声をかけてきた。
「さて、そろそろいいですかね。規則なんでね。」
ありがとう。ありがとうございます。感謝します。日本語と中国語で礼を述べて鉄の扉に向った。そして最後にもう一度振り返り、その勇姿を目に焼き付けた。
(つづく)
※「蕃茄庵」からのお知らせ
今回、私たちは非公開の「蒸気機関車博物館」を訪れ、幸運にもその一部を見ることが出来ましたが、あくまで「幸運」によるもので、行かれた方すべてが見ることが出来るということではないことを、改めて申し上げます。むしろ「見られなかった」例の方が遥かに多いということは言うまでもありません。
また、警備員さん、係員さんたちもその職務に極めて忠実であったことも、彼らの名誉のために、改めて強調しておきたいと思います。