皆既日食と聞いて、なんとなく「怖い」と思うのは、最初がいけなかったのだと思う。幼いころ、おそらく前回の皆既日食の数年後だったのだと思う。
母から「月の影に太陽が隠れて昼なのに真っ暗になる。それを皆既日食という。数年前に一度あった」と教わって、疑う余地無く「怪奇」日食と覚えた。そういう人も多いと思う。「怪奇」という難しい字は「怪奇大作戦」で覚えていた。
それと同様に怖かったのが「黄砂」。
「中国から黄色い砂が飛んできて、喉が痛くなったり、目が赤くなったりする」と教わったその夜、夢を見た。
身近な人たちが次々と黄砂にやられていき、咳き込んだかと思うと目が白目も黒目もデコボコな肉色になる、つまり眼球全体が生のミートボールのようになるという夢。
次から次へとゾンビのように増えていく。
近所のいじめっ子が黄砂にやられたときはザマミロと思ったが、やさしかったそのいじめっ子のお母さんがやられたときは悲しかった(夢の中だけど)。
自分も感染したところで夢がエンディングとなったのは、きっと「マタンゴ」の影響だったのだと思う。