女流義太夫の新たな世界

勘三郎せんべいを抱えて行ったのは紀尾井小ホール。「女流義太夫の新たな世界」を見に(聴きに)行ったのだ。

女流義太夫の新たな世界


畏友・鶴澤寛也師匠が出演されているのは言うまでも無い。


女流義太夫というのは基本的に「素浄瑠璃」である。つまり浄瑠璃だけで見せる、聞かせる。お芝居や文楽を伴わない。今回のイベントは特別に文楽とジョイントしたのが目玉だ。


寛也師匠が出演する演目は「傾城阿波の鳴門 十郎兵衛住家」。「ととさんの名は」でお馴染み、泣かせに泣かせる名作だ。僕は徳島に出張の折、オフ時間に阿波人形芝居で見て、泣いてるところに会社から電話が来て慌てたことがある。

太夫は斯界随一の美声と評判の竹本綾之助さん。そして三味線が鶴澤寛也さん。さすが邦楽専用のホールなので聴きやすい。前から三番目という席もよかったけどね。細かいところまでたっぷりしっかりと聞き込めた。


このペアが前半。後半は太夫が竹本越孝さんで三味線が鶴澤三寿々さん。実は僕は20年来の越孝さんのファンだ。豪快かつ可憐、そして美人!

まぁ、このヨウツベを御覧なさいましよ。


そして文楽。実は文楽と女義の共演を見るのは初めて。まったく違和感なく楽しめ入り込めた。もっとも僕は文楽はよく知らない。ほとんど見ない。かなり久しぶり。たぶん平成に入って初めてかもしれない。


劇場では嬉しい再会と出会いがあった。


ロビーで児童文学評論家、元祖・本の探偵の赤木かん子さんと多分、4年ぶりくらいにお会いした。最後に会ったときより、僕が30キロぐらい目方が減ってちょっと人相が変っているので、なかなか思い出していただけなかったが、ヤングアダルト文学の現状について興味深い話をいろいろ伺うことができた。

休憩時間のロビーという短時間でそんな「いろいろ」伺えるのか?と思われる方もあるかもしれないが、かん子さんは超・早口のマシンガン・トークなので短時間でもいろいろ伺えるのだ。


そして水野悠子さん。娘義太夫研究の第一人者である。

知られざる芸能史娘義太夫  江戸東京娘義太夫の歴史


お会いするのは4年ぶりくらい。最後に会ったときより、僕が30キロぐらい目方が減ってちょっと人相が変っているので(以下略)。美人で可愛らしく、当然ながら聡明なので、僕はファンなのである。

年末のドラマ「坂の上の雲」では子規たち学生が「どうするどうする」と身悶える場面の娘義太夫の監修をされている。その件に話が及ぶと「本当はもっと長い時間撮影したんですよ」と笑っておられた。


楽屋に表敬訪問。寛也さんの楽屋に向かう通路で越孝さんとちょっとお話できて有頂天。

寛也さんには、このほど平凡社新書で「折口信夫 霊性の思索者」を上梓された気鋭の国文学者・詩人の林浩平さんを紹介していただいた。

折口信夫霊性の思索者


いや、いろいろ面白かった。たまには寄り道もしないといかんね。



(「紀尾井ホールでの出会い」については、明日に続きます。) 


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