聖地巡礼、四谷。「第八回 はなやぐらの会 〜壇浦兜軍記・阿古屋琴責の段」


うららかないい天気。お花見日和。中央線に乗って四谷へ。今日は聖地巡礼


まずは聖地その1 バンビ。



カウンターだけのハンバーグレストラン。こういう高カロリー高脂質のものはと思いつつ、四谷に来るたびに食べてしまう。美味しくて安いのはもちろんのこと、厨房の3人の職人さんの無駄の無い動きにいつも惚れ惚れとしてしまう。


聖地その2 ドン・ボスコ



実は四谷はカトリックの町である。カトリックの本と教会用品の専門店。銀飾りの燭台とか欲しいなぁ。でもお金が無いし腹も減っている。よーし思い切って!って俺はジャン・バルジャンか。



聖地その3 サンパウロ


こちらもカトリックの本と教会用品の専門店。むかしは中央出版と言った。四谷の駅前の一等地にある。一番の大型店。CDなども豊富。



聖地その4 聖イグナチオ教会



僕の、そのなんというか、本貫、というか菩提寺、というか。写真はその「案内所」。書籍やグッズの販売部もかねている。


日曜日、イグナチオ教会では時間ごとに各言語でのミサが執り行われているので、東京中から各国出身の多くの善男善女が集まる。


人が集まるところに商いは生まれる。“世界中から”集まる信者を当て込んだ行商人(多分、おもにフィリピン人と思しき)が集結し、食べ物や雑貨を商いちょっとした市場になり賑わう。つまり健全なる門前町の形成がなされるわけだ。取り締まる方法や法律はいくらでもあるのだろうけど、そんな野暮は言いっこ無しにして欲しいな。



野暮は言いっこ無しにしてと言えば、今日は土手の桜が満開である。これらちょっと不思議なエスニックを酒肴に花見の宴なんて楽しいじゃないですか。



土手の上の公園は大混雑。普通に散策する分には十分なスペースがあるのだが、レジャーシートに寝そべるバカ、、高歌放吟するバカ、三味線やギターをかき鳴らすバカ、大型一眼レフを載せたでかい三脚を道の真ん中に立てるバカ、犬を連れてくるバカ、ベビーカーを乗り入れるバカ、杖をついたバカ、あ、俺か。とにかくバカと桜の花盛り。良き哉良き哉、なんか楽しくなってくる。


お気の毒なのが土手の住民。静かな住まいを花見客に追い出され、道路を隔てた紀尾井ホールのアプローチの石畳でトカゲ(カナヘビ?)がマゴマゴしていた。



聖地その5 紀尾井ホール5階の紀尾井小ホールは邦楽の聖地である。


そう、僕は四谷にハンバーグランチを食べに来たわけでも、聖書を買いに来たわけでも、花見に来たわけでも、ましてやトカゲの観察に来たわけでもない。


邦楽を鑑賞に来たのである。



当ブログでもすっかりお馴染みの女流義太夫三味線奏者の鶴澤寛也師匠主催の「第八回 はなやぐらの会」。


出演は、浄瑠璃 竹本駒之助(人間国宝)/三味線 鶴澤寛也/  ツレ 鶴澤津賀榮 /三曲 鶴澤津賀花


ゲスト解説者に橋本治(作家)。


演目は「壇浦兜軍記〜阿古屋琴責の段」


平家滅亡後、平家の有力武将の潜伏先を知っているかもしれない遊女・阿古屋を拷問するのに、「うそがあれば音色が乱れるはず」と、琴、三味線、胡弓を弾かす、というお話。30年ぐらい前、大成駒こと六代目歌右衛門で見た記憶がある。


250席のホールは満員札止め。大迫力の人間国宝・竹本駒之助師匠の語りもすばらしかったし、もちろん寛也さん、津賀榮さん、鶴澤津賀花さんの演奏も情感たっぷりで良かった。


それに先月のひなまつりの日に神楽坂の寛也師匠の稽古場に遊びに行った折、お三人で練習していた曲かと思うと、更に感慨深い。



橋本治さんの脱力感たっぷりのお話も楽しかった。「ストーリーを聞き取れない人は音楽として楽しみなさい」のアドバイスどおりに音楽として堪能させていただいた。耳に心地よい。



終演後は家に直行。元気だった去年は終電近くまでエッセイストの坂崎重盛さん人形作家の石塚公昭さんと11時近くまで飲み歩いたのだ。若かったなぁ、わし。


下の画像は四ッ谷駅のホームから土手を見上げたもの。


桜のうすピンクと菜の花の黄色、空の青、新緑、それら春らしい温かな色彩と、列車・鉄骨の無機質なグレーの対比が見事。菜の花と列車のラインのイエローをシンクロさせたところに作者の非凡な感性が感じられる。自画自賛


今日のお土産は「ニックナック」。



小型のワッフル型で焼いたベルギー風のクッキーで高松の「ドミニコ会神の母マリア修道院」製。上で紹介した「聖地」のうちの一軒にて購入。紀尾井ホールでないことは明白だけど。



北海道のトラピストクッキーと同じような成り立ちで、修道院のシスターたちが焼いたお菓子だそうだ。ただ工場での大量生産で空港でも売っているトラピストとは違い、手作りなので入手はなかなかに難しそう。ネットでもうってないみたいだし。


これがまあなんと美味しいんだ、びっくりした。サクサクとした食感で自然な甘い香り。子供らに食わすのはもったいないから、明日、彼奴らが学校に行っている間に全部食おう。


今日の国立駅から見た桜。満開です。





<今日の一句>


三味の音に 追い立てられて 蜥蜴(とかげ)出つ




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