そうそう思い出した。赤城神社の裏側の通りに藤の花のきれいなお宅があったんだ。藤棚じゃなくてもっと無造作な感じで植わってる。そろそろ盛りじゃないかな、と行ってきた。
見事。なかなか野趣あふれる藤の花。
と、写真を撮っていたら、どこからともなくリムスキー・コルサコフの調べ。
むむっ?
本当の熊蜂だった。20匹はいて、藤の花の周りを飛んでいる。
蜂と言うのは黒いものを狙うと言う。金髪を散らして白髪混じりながら黒髪となってしまった僕の頭。今の僕が、頭を蜂に刺されたりしたら多分、死ぬだろう。脳梗塞からからくも生還し、「不死身の男」あるいは「富士見湯の男」を自称しているが熊蜂にはかなわない。
後戻りしようかとも思ったが遅刻しちゃうので刺激しないようにゆっくりと通り抜けた。
ようやく裏道を通りきったところで一人の老婦人に出会った。
耳が蝶々のように広がった小型犬「パピヨン」を連れている。犬の散歩で件の裏道に進み行く雰囲気。刺されたりしたら大変なので、
「この先に熊蜂の群れがたくさん飛んでますから行かないほうがいいですよ」
と伝えた。すると老婦人はいきなりしゃがみこんだ。
えっ? もう刺されちゃった? 違った。 しゃがみこんで傍らのパピヨンに
「蜂がいるんですって。他の道にしましょうか、ピーちゃん」と。
別に相談なんぞしなくてもいいと思うが、家族なんだろうな。なんかほほえましい図だった。
当のピーちゃんも蝶々のような耳をパタパタさせて、HIS MASTER’S VOICEしていた。<今日の二句>
藤見れど 不死身に遠き わが運命(さだめ)
裏路地や 蝶と蜂とが 鉢合わせ
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