伝説の不良

さて、昨日のことになっちゃうのだけど、毎週日曜日の午前中に日本テレビでやっている「いつ見ても波瀾万丈」を見た。週代わりでゲストが来てその人生をインタビューと再現ドラマで探るというもの。芸能人版「私の履歴書」みたいなもの。


今回のゲストは俳優の宇梶剛士氏。


この方、僕の中学の2年後輩である。だけどまったく付き合いは無い。学年が違うし、あちらは根っからの硬派で、こちらは「酢豆腐オツでゲス。ちりとてちん♪」なんて方だから、はなからお派が違う。だけど、あのルックスだから非常に目立つ。一方的に知っていた。中学卒業後もしばらくはときどき街で見かけた。多分その頃が彼が一番荒れていた時期だったのだろう。ブラックエンペラーのヘッドだったそうで、すでに若くして伝説的な存在になっていた。

 
 同じ時期僕もオートバイに夢中で、年がら年中、朝から晩まで乗っていたが、生憎というか幸いにというか接点はない。なにしろこちとらカットビマシンのスズキGT380に乗ってはいても、人格が「ちりとてちん」である。仮にこちらが望んでも仲間には入れてもらえなかったろう。あと朝から晩までっていうのがよくなかったかな。先方は晩から朝までのクチだ。


 そして、次の再会は一気に10年以上飛んで1993年の節分となる。
その年の谷保天満宮の節分の豆撒きゲストは、故・内海好江師匠だった。僕はその直前に仕事で好江師匠にお世話になっていたので、挨拶がてら当時3歳だった長男・虎太郎を連れて、天神様に行ったのだ。


 粋な日本髪に裃姿の師匠は豆撒きに先立ち、天神様の拝殿の大きな衝立の前で、境内に集まった観衆に挨拶された。
「今日、ご一緒するのは国立市出身の宇梶剛士くん。まだ新人だけどこれから芸能界でがんばっていこうって人。皆さん応援してあげてね」
すると師匠の後ろの大きな衝立がぐらりと動いた。衝立かと思ったのは裃をつけた宇梶氏だった(ちょっと誇張)。なにしろあのルックスだ。10年経ってもすぐわかる。


「あ、あの伝説の不良が俳優になってたのか!」
びっくりした。


 豆や蜜柑をもらって、好江師匠から、

「(僕の顔と虎太郎の顔をしげしげと見て) あらやだ、同じ顔じゃないのよぉ」

のお言葉をいただいて、参道を帰りながらも僕は口の中で反芻していた。

「あの伝説の不良が俳優になってたのか・・・・・」

 それ以来ずっと気になる存在ではあったが、ここ1,2年凄くいい。なんというか、すごく包容力を感じさせるようになってきたと思う。
 
好江師匠の言いつけを守って影ながらだけど応援しています。がんばってください。


不良品