美山の里で紅葉狩り〔15−最終回〕和歌山ハムレット

《11月29日の旅日記から》

アー食った食ったと、美山ふるさと産品展示販売所を出たら目の前に心ときめく看板。


「展望台」


僕は煙と仲間で高いところが好きだ。高所恐怖症なんだけど高いところが好き。足元がしっかりしていればこわくない。旅先でお城、タワー、展望台があったら必ず上る。


食事後の腹ごなしに最適だ。最初はスロープで途中から石段になる。石段を登りきった小山の天辺にその展望台はあった。

うん、なかなかの絶景であるぞ。ダムが一望できる。赤い欄干がこの辺のランドマークの「平大橋」。

この椿山ダムの底にかつてあった川で泳ぎを覚えたとさっきKさんの奥さんに聞いた。同級生の家もあったという。


張り切って上ったので、帰り、下り坂で足ががくがくする。運動不足はちょっと深刻かも。1年半前の北京旅行では夜明け前に北京飯店から天安門広場まで走ったりしたんだけど、まるで別人。おまけに重いコートを着ていったので暑い。冬なのに汗がでる。


Kさんの店に戻ったときにはバスの時間が迫っていた。奥さんが荷造りを済ませてくれていた。ごちゃごちゃと雑多な荷物を体裁よくまとめてくれた。


問題は鹿の角だ。

奥さんはテントウ虫柄の包装紙で要領よくラッピングしてくれていた。手提げ袋から可愛い柄の棒状のものが2本。

「山芋くらいに見えるでしょ」

と奥さん。

「ところで蕃茄さん、汗かいてません」

ええ、展望台上ったんですよ。ダムがきれいに見えました。(ちょっと自慢)

「そうですか、ダムの展望台ですね。実はもうひとつ展望台があるんですよ。そっちのほうがだいぶ高いですよ。そちらは村全体が見渡せます。」


ええっ?そんな・・・・・。登りたい!! でもバスの時間が迫っているから無理。心残り。

でも・・・。旅に心残りは吉兆である。心残りがあるからまた来れるのだ。すべてコンプリートしてしまったら、また来る口実がなくなる。なんて自らに言い聞かせていたら、また汗が出てきた。


「そんな暑いならアイスクリームでもいかがですか?」

いえいえ、そんな暑くないから大丈夫です・・・・・。さっきヨモギアイスを食べたのはやっぱり内緒である。


そのとき、東のほうからワゴン車がやってきた。旅の終わりを知らせる者だ。町営のコミュニティ・バスだ。マイクロバスより一回り小さい。

Kさんの奥さんにお礼を述べて、コミュニティ・バスに乗り込んだ。乗客は僕一人。

昼の12時40分。前日の18時35分に藤並についてからたった18時間の紀州の短い旅は終わった。



[終了。長らくのお付き合いありがとうございました。]

「美山の里で紅葉狩り<1>」はこちらへ。


◎◎◎余録◎◎◎

旧・村役場前で南海バスに乗り換えての終点は紀勢本線御坊駅

ホームに入ると0番ホームにちょっと人だかり。ローカル線の紀州鉄道の車両を撮る人たち。なんか珍しい車両らしい。

よし、僕も携帯カメラに収めようかと思ったら、視界の端に弁当屋さん。「サンマ寿司」とある。一つだけ残っている。食いたい。あれどこかのアンちゃんが財布を出そうとカバンをごそごそやっている。買う気か。

と、そっちに気を取られているうちに、電車が発車しそうな様子、ああ、撮りたい。でも残り一個の寿司も買われちゃいそう。ああ食いたい。


ああ、どうする。和歌山ハムレット!!!


って答えはわかりきっているんだけどね。



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