「国立訪八団」北へ(6) ウミネコの島、小魚の館

〔5月23日の日記 その6〕

船を下りて遊覧船の待合所のトイレを借りる。手洗いのタンク、久しぶりに見た。懐かしい。


それにしてもお腹がすいた。もう1時50分。乗船前、待合所の前に大衆食堂の看板を見つけていた。あそこに行こう。


そうしたらノレンも出ていなければ戸も開いていない。お休みのようだ。今日は日曜日。港が休みだからお休みなのか。


周りを見ても海と山だけで飲食店なんて影も形もない。商店もない。


思い出した。さっき「洗心美術館」で紅白饅頭をいただいたのだ。おお、そうじゃ。

あわてて箱を開けたら・・・・。饅頭ではなかった。


お餅だった。さらにボリュームたっぷり。十分にお昼ごはんになった。助かったーー。

ツレの大好物でお土産に最適だったけど、背に腹はかえられない。


空腹も癒えて疲れも回復し、次の目的地は「蕪島」。日本で有数のウミネコの繁殖地で天然記念物指定をうけている。。島といってもデベソのような形の半島。菜の花に覆われた丘に4万羽からのウミネコが棲んでいる。

さっきまでは閑散としていたが島の中核である蕪島神社には観光客がいっぱい。でもウミネコはもっといっぱい。卵を温めているウミネコもいる。

餌やりは禁止されているので、ヒトもウミネコもお互いに落ち着いた関係でいられる。ウミネコの様子は非常に静かで穏やか。さっきの遊覧船に殺到していたのとはまるで雰囲気が違う。


神社の外周の通路を3周するといいことが起こるという。僕もチャレンジ。

一周だけ回ったところであまりの「落し物」の圧倒されて断念。最初は踏まないように歩いていたけど、無理。


静かに手すりや石段に止まって、ときおり「ミャー」となくウミネコに見送られて島を出た。静かなだけにちょっと不気味。ありがちな連想だけど、ヒッチコックの「鳥」の静かなラストシーンを思い出した。


さて、これからどうしよう。駅に戻ろうか。それとも先に進もうか。迷った時は先に進もう。


「マリエント(八戸市水産科学館)」という水族館をかねた博物館があった。

展示室は3階。大きな水槽には鯛や平目の舞い踊り。端のほうでは子どもたちを集めて、「人工的に作り出した深海にカップヌードルカップを投じたらどうなるか」などの実験をしていた(答え=縮む)。


おおっあんなところに地味な人だかりが・・・。

ドクター・フィッシュこと「ガラ・ルファ」。テレビ等で見たことあるでしょ。皮膚の悪い部分を食べてくれる小魚。おはだがツルツルになるという。

子どもたちがキャーキャー言って群がっている。水槽に女の子が手を入れると、手が真っ黒になるくらいに小魚に寄ってくる。

「きゃー、くすぐったい!!」


僕がちょっと並んで試してみたのが下の画像。

隣の女の子は手が真っ黒になるほどだけど、僕の方はポツポツ。そりゃ、五十男よりも子どもの方が美味しかろう。小魚もわかっている。

でもチョンチョンと吸い付かれて気持ちがいい。


小魚に指つつかるる春の「鮫」


であった。


300円にしてはおもしろかった、と思いつつ外に出て見上げたら

「4階・展望レストラン“千陽”」。とあった。


嗚呼、紅白餅もったいなかったなぁ。





〔明日に続く〕