「国立訪八団」北へ(7)海沿いの「道」を往く船越さん

〔5月23日の日記 その7〕

そういうわけで海沿いの道をちょっと歩いてみることにした。この先は名勝「種差海岸」となる。一駅か二駅分くらい歩いてみようか。

こんな景色の中である。

ところで僕は背広姿である。大自然の中、場違いもはなはだしいが、しかたがない。昼間は「洗心美術館」のテープカットセレモニーがあった。夜には記念パーティーがある。背広姿は当然である。

でも、上の画像のような景色の中を背広姿で歩いていると・・・、船越英一郎のような気分になってくる。エンディング近く、もう10時40分くらいだな。断崖から身投げして清算しようとする犯人を必死で説得する狩矢警部、の感じ。

というわけで、実演してみました。

携帯カメラのセルフタイマー、結構使えます。



下の画像の突端は「葦毛崎展望台」。外国船の監視のために作られたらしいけど、詳しいことは知らない。ちょっと西洋風の概観。なんとなく「奇巖城」と言った印象。狩矢警部の次はモーリス・ルブランか。

展望台にあがると、ステンレスの案内板が貼り付けられている。前方の地形の概観が描かれ、北側の案内板には「三沢25キロ」、「六ヶ所村65キロ」とか書かれている。きっと天気が良ければ見えるのだろう。

驚いたのが南東側。「ロサンゼルス8400キロ」、「ホノルル6500キロ」。

晴れてても見えないと思う。


それにしてもいい景色。

海、まっすぐな道、濃い緑。絵になる。僕に絵心があればスケッチの一つもしたいところだ。


そう考えたのは僕だけではなかった。とてつもなく偉い人が60年前に同じことを考えた。

碑があった。東山魁夷「道」の碑。


碑によると、魁夷はここで代表作の一つ「道」を描いたという。1950年の作品。

東山 魁夷「道」


ほほう、と感心して碑文を読んだ直後、作品にそっくりな景色を発見した。なるほど。まんまだ。


海沿いの「道」はまだ続く。種差海岸目指して・・・。


〔明日に続く〕