告知・石塚公昭 人形写真展「夜の夢こそまこと、ふたたび」


作家・文士の人形を石塑(粘土)で作り彼らの文学世界の中に立たせて、その世界観を自ら撮影する技法で知られる人形作家・写真家の石塚公昭氏による、江戸川乱歩をテーマにした作品展がこのほど開催されることとなった。


石塚公昭 人形写真展「夜の夢こそまこと、ふたたび 江戸川乱歩2012冬」



12月6日(木)〜18日(火)。会場は東京都国立市中一丁目、築半世紀の木造民家を改装した「ギャラリービブリオ」(国立駅前)。



↓動画↓



2005年の銀座・青木画廊での乱歩シリーズ初発表に魅せられたギャラリービブリオ廊主の熱望によって7年の歳月を経てふたたび新趣向でよみがえることとなった。


展示内容は江戸川乱歩像がその文学世界で活躍するユニークな写真作品22点に加えて、夢野久作が柱時計に入り込んだ「夢野久作像 『堂廻目眩(ドグラマグラ)--精神科学応用の犯罪とその証跡』」を実物展示する。


照明を抑えた畳敷きのギャラリーで、冬季に入り初稼動する掘り炬燵にあたりながら、乱歩および久作の幻想的で耽美的な文学世界に浸るという趣向。




入場無料 。



乱歩 帝都上空 ←クリック!!

「乱歩 帝都上空」        



堂廻目眩 ←クリック!!


 「夢野久作像 『堂廻目眩--精神科学応用の犯罪とその証跡』」


↓↓動画↓↓



石塚公昭 人形写真展「夜の夢こそまこと、ふたたび 〜江戸川乱歩2012冬〜」
・日時:2012年12月6日(木) 〜12月18日(火) 11時〜19時  水曜休廊 最終日は17時まで。

・会場:国立駅前「GALLERY BIBLIO (ギャラリービブリオ)」

http://www.gbiblio.jp/

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石塚公昭(いしづかきみあき)=1957年、東京生まれ。人形作家、写真家。文士、作家、JAZZミュージシャン等の人形を作り自ら撮影するというユニークな作品で知られる。個展、グループ展、書籍表紙への画像提供多数。2007〜11、東京都交通局(都営地下鉄)のフリー誌「中央公論Adagio」の表紙を担当。
http://www.kimiaki.net/
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追記11月22日

それ以外の展示品について。



メインはタイトルどおりに乱歩人形の写真なのであるが、展示物はそれだけではない。



人間椅子である。



人間椅子」といってもイカ天でデビューした文芸バンドではない。


石塚さんが構築した「乱歩ワールド」だ。



写真作品は下の画像。



小さくてゴメンね。大きいのはギャラリービブリオで見てください。「佳子」のモデルはこのブログではすっかりおなじみ、女流義太夫三味線奏者の鶴澤寛也さん。


写真はもちろん展示する。特別展示品はこの椅子の方。佳子が座っているこの黄色い皮張の椅子だ。


普段は寛也師匠の稽古場にあって、肩こり症の師匠の疲れをやさしく癒しているらしい。近所のタイ古式マッサージ「アユタ屋(仮名)」のセラピスト嬢たちも時々座りに来るという(未確認)。


今回の展示のために特別に師匠からお借りすることになった。「車で取りに行きましょうか」と行ったら「それには及ばない」とのこと。ふだんから重い太棹三味線を持ち運んでいるからご婦人としては力持ちなほうだがちょっと心配。



それからの特別展示は久作である。


嶋田久作ではない。ましてや百姓久作(野崎村)ではない。



夢野久作像の実物展示だ。



ただの人形ではない。アンティークの柱時計の中に封じ込められた久作像。



作品タイトルは『堂廻目眩(ドグラ・マグラ)--精神科学応用の犯罪とその証跡』」



画像はこちら。


關敏 小品展〜秋〜


これを運ぶために先日、江東区の石塚宅まで行った。高さ1mを越える大物である上に、なによりこれは美術品である。宅配便ってわけには行かない。かといって美術輸送だと目の玉が飛び出る。そこでクッション性だけは高級車並みのクラウンワゴンで行ったのだ。


柱時計はオブジェではない、実動だ。毎正時にはあの狂気を誘う

「…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。」

が時を告げる。



そして・・・・。「ドグラ・マグラ」の巻頭歌に曰く、


胎児よ

胎児よ

何故躍る

母親の心がわかって

おそろしいのか



そして「キチガイ地獄 外道祭文」の



スカラカ、チャカポコ、スカラカ、チャカポコ



それらもちゃんと仕込んである。アップ画像をご覧いただきたい。



關敏 小品展〜秋〜



さらに、である。


この「ドグラ・マグラ」の一応の舞台は九州帝大医学部である。



この展覧会では同大の当時の卒業アルバムの現物も展示しちゃうのだ。



「昭和6年九州帝國大學醫學部寫眞帖」



作中に登場する正木、若林両博士の写真もサイン入りで貼られている。そう卒業アルバムと言っても印刷物ではなく揃いの皮表紙のアルバムに、写真はプリントがそれぞれ貼られている。


そしてその編集委員の一人がその後、敗戦直前に身の毛もよだつ事件を起こす。それは「余談」としては重過ぎる事実だ。


關敏 小品展〜秋〜

關敏 小品展〜秋〜


石塚さんが古書店、オークションを渉猟して入手した超希少物件の初公開だ。



と、まぁ、こんな展覧会である。


「ビブリオ(=書誌学)」の名にふさわしい展示になると思う。