道行 江戸の先まで

banka-an2003-12-24


 一昨日、昨日と江戸の粋に耽溺した話を書いたが、今日はもうちょっと先まで行って来た。って無意味に仰々しい書き出しだね。なんのことはない、つまりは仕事で茨城県の江戸崎まで行って来たのだ。

  江戸崎というのは霞ヶ浦のちょっと南、競馬のトレーニングセンターで有名な美浦村の隣町だ。東京駅八重洲口から高速バスで約2時間。車内では爆睡だった。携帯にメールが3通入っていたがまるで気がつかなかったほど。

  バス停近くのファミレスで昼食。23年前に死んだ祖母によく似たおばあさんが隣のテーブルでラーメンをすすっていた。祖母は水戸出身。茨城顔なのかな。

  いつものようにチャカチャカっと仕事は済ませて帰りもおなじバスで帰る。3時30分発。東京着は5時50分の予定。行きのバスで一緒だった分厚いファイルを持った若いサラリーマンとまた一緒になる。言葉こそ交わさないが顔を見合わせてニヤリ。ささやかな連帯感。

  美浦から乗ってきた茶髪のアンチャン二人。手提げバックから皮の鞭が覗いている。


  またウツラトロリとしていたら運転手さんの大きな声で目が覚めた。

ミニモニ。THANK YOU!!」

  すわ、ご乱心!!逆噴射か? もしくは杉作J太郎先生の襲撃か? と思いきや単なる聞き間違え、

「次は右籾三区(みぎもみさんく)」だった。

   その右籾三区から乗ってきたお嬢さん。白いコートにミニスカ、網タイのお洒落さんだ。手には大きなプラダのバッグ。

「ほほぅ、これから東京でクリスマスデートでお泊りだな」

と勝手に邪推。「若いっていいね。お幸せに」と勝手に祝福。

   高速道路は大渋滞。クリスマス渋滞かな。遅延は必至である。プラダのお嬢さんはしきりにメールの受発信を繰り返している。予約とかあるもんね、と勝手に断定。


  おなか減ったなあと思い始めた頃、バスは向島で高速を降りた。隅田川沿いに走ると左側に見覚えのある建物。長命寺の桜餅だ。

「と、とめてくれー」と言いたかった。

  しばらく行くとガラス張りの建物の中にベンツがたくさん。ということは、駒形橋東詰だ。近くに滅法美味しいカレー屋さん「ラティーノ」がある。ひき肉豆カレーが死ぬほど美味い。「と、とめてくれー」と言いたかった。

  橋を渡ると浅草。ここには・・・・・って、ええい、キリがない!!

  浅草を過ぎて上野にむかう。途中クリスマス・イブだというのにやけにひっそりとした商店街があった。どうして? と思ってみると田原町稲荷町だった。じゃ仕方ないや、仏壇仏具の専門店街だもんね。

  バスは東京行きだが、上野にも停車する。この先も渋滞しそうなので上野で降りた。もう七時近い。約一時間の遅延。

  車内ではプラダのお嬢さんがまだ必死にメールを打っていた。

そんないつもどおりの蕃茄山人のクリスマス・イブでした。
ここをお読みの皆さんに幸せが訪れますように。メリークリスマス!!