「「国立訪八団」北へ(11) 「洋酒喫茶プリンス」で昭和に酔う。

〔5月23日の日記 その11〕 

パーティーは終わった。みんな三々五々捌けて行く中、マスヲ旅団長の大号令が下った。


なまず句会」は8時30分にロビーに集合!!


部屋に戻って「龍馬伝」を途中まで見てロビーに降りたら、集まったのは10人。精鋭、と言っていいだろう。先鋭、と言ってもいいだろう。さすがに前衛、と言うと言い過ぎか。


二次会の店はもう予約していると言う。夕方、マスヲ旅団長がロケハンして、そこのマスターと意気投合して決めてきたとのこと。

僕が八戸マノン劇場をコワゴワ覗き込んだりしている間に、そんないい仕事をしているとは驚嘆である。


「洋酒喫茶 プリンス」というロカビリーなスナックだそうな。なにそれ?面白そう。

場所を問うと「わからん」と。さっきはタクシーで盛り場を回る中で見つけてタクシーで帰って来たからわからないと。

そこで、マスヲさんがもらってきたマスターの名刺をホテルのフロントマンに見せて地図に印を付けて「道」を教えてもらった。僕に道を教えるフロントマンの背後には東山魁夷の「道」(←しつこい)。

東山魁夷「道」

地図を片手に僕が先導して、10人ぞろぞろと「洋酒喫茶 プリンス」を目指した。


ホテルから歩いて10分ぐらい。庶民的な飲屋街「長横れんさ街」という路地の奥にその店はあった。

店の前には杉玉がぶら下がっている。造り酒屋の「新酒できました」のサインである。それがなぜ「洋酒喫茶」に。だいたい「洋酒喫茶」って?

果たして昭和の香りプンプンのスナックだった。今年還暦だと言うリーゼントをバッチリ決めたマスターと、オオカミカット(懐かしい)がいかしたママの二人でやってるお店。我々10人でちょうど貸切りの(いや、H美ちゃんとタケちゃんはカウンターの中に席を作ってもらったか)小さな店の壁面はモンローのパネルでいっぱい。照明も調度も懐かしい。昔はこういう店がたくさんあったよなぁ、立川に。



トイレも屋外で路地の更に奥に共同トイレ(思いのほか清潔だった)。個室は各店で鍵を借りて入る方式で治安を保っている。

サントリー角瓶をキープしてハイボールを呑みながら、これまた懐かしいレーザーディスクカラオケで昭和歌謡のエンドレス。句会ならぬ「連歌」の会となった。

ディラン氏の「港町ブルース」、心に染みたなぁ。


あと心に染みたのはマスターとママのお話。この店は創業50年でママは家付き(店付き)娘。そこに元自衛隊でヘリに乗っていたマスターが流れてきて…。だれか小説にしてください。


歌って踊って、異常な盛り上がりとなり気づいたら12時過ぎ。閉店時間となってさすがに終宴したが、良い店だった。この店だけのためにもう2,3泊したいとまじめに思ってしまった。

そして、安かったんだ、これがっ !!



〔明日に続く〕