トランペットのキーホルダーと「婦系図」

その日本を代表するクラシックホテルであるが、部屋の名前が番号でなく花の名前であるところが雅なところである。「花御殿」なんて別名もあるらしい。長身でイケメンの趙さんに教えてもらった。

で、部屋の鍵が、またすごい。カード・キーなんかじゃないよ。ちゃんと金属の鍵なんだけど、キーホルダーがすごいの。

縦長の木の板にその部屋の名前の花の日本画が描いてあるの。そしてキーーホルダーといっても携帯ストラップみたいな小さいものではない。

大きさとしては…。風呂屋の下足札を縦に二枚並べたような・・・。わかりにくい?

そう日本唯一の演芸情報紙「かわらばん」くらいの・・・・。もっとわかりにくい?

まあともかく縦長のそこそこの大きさのものなのだ。それがフロントの後ろの壁にずらりと並べてある。壮観。


ここにつとめると、まずそれで苦労するそうな。今はさすがに花の名前のほかに、別名として301とか403とかの番号がついているけど、かつては花の名前だけ。部屋の位置と花の名前を覚えなければならない。

さらに大変なのは昔から外国人客が多いので英名も覚えなきゃいけない。バラがROSE、サクラがCHERRYくらならわかるけど、「凌霄花」なんかが困っちゃうそうである。英名どころか普通、「凌霄花」だって読めやしない(ノウゼンカズラ、である)。

ちなみにノウゼンカズラの英名は「TRUMPET FLOWER」または「TRUMPET CREEPER」というそうだ。


トランペットのキーホルダーとはお洒落じゃないか、と思いつつ帰宅すると、隣家の看板娘「ノウゼンカズラ子ちゃん」が咲いていた。


なるほど「TRUMPET CREEPER」ね、うまいことを言う。


CREEPERとはCREEP(這う)するもの、つまり「蔦系」の植物のこと。だから「オツタチカラ」は「CREEPER−POWER」となる。湯島を通るたびに思い出しそうな話だ。