精算、返却
とまあいつまでも虚脱感に浸っているわけにもいかないのである。お預かりしていた作品(久作時計、写真作品、写真帳)をお返ししないと。石塚さんからは「ゆっくりでいいですよ」といわれているが、無人(になることも多い)のギャラリーにいつまでも美術品をおいておくわけにはいかない。
そんなわけで車で深川の石塚さんのアトリエまで返しに行った。
テレビ埼玉の「新・必殺仕事人」の再放送を見てから出発。今日のゲストは村地弘美。
最近見ないがどうしておられるのだろう。中学のとき同級生のワッちゃんと自転車で西武園に行ったら知らないおばさんが話しかけてきた。娘が今度デビューするから応援して欲しいと。後ろに髪の長い美少女が立っていた。それが村地さんだった。すでに龍角散のCMに出ていたので僕は知っていた。龍角散は「笑点」のスポンサーだったのでたびたびそのCMは見ていた。
そのときの村地さんは終始クールだった。西武園で遊んでいる貧乏ったらしい中学生にまでよろしくと頭を下げる親心、今となればわかる。
いやそれはどうでもいい、そんなわけで10時に出発。途中、トイレを借りたコンビニで買ったアンパンを運転しながら。これがブランチ。欲望と言う名の、ではなく「朝昼兼帯」、って表現が古いね。
明らかに車体が重い。時々時計が唐突にぼわーんと鳴る。
正午に市ヶ谷を通過。バルコニーに人影はない(当たり前だ)。
本郷の出版社、風濤社に寄り道して業務連絡。石塚さんの作品集、『Object glass 12』の版元だ。
最近、ご教訓絵本『地獄』が発売から30余年を経ての大ヒットで多忙を極めているらしい。
数社から便乗商品がたくさん出ているが本物はこれ。質が違うのでご注意ください。
この出版社からは来春、石塚公昭さんの泉鏡花の作品集が出ます。今回の展覧会で石塚さんの作品世界に驚嘆した人はぜひチェックを。
1時に石塚さんのアトリエに到着。築年数は古いそうだが清潔で明るく開放的な印象のマンション。久作時計、写真帳、写真作品、ファンからのお花などをお渡しした。ついでに「芋虫グミ」「ミミズグミ」も。
谷やんラーメンなるお店を発見。
本店ってことは支店もあるのか、谷やんらーめん。なんか常連の野球チームとかありそう。
最近できたという「猫カフェ」ならぬ「猛禽カフェ」は発見できなかった。
往路同様復路も永代通りを。途中、兜町を通過。なんとなく活気があるようなないような。
いやこの町は最悪のときもやけくそな空元気があったからなんともいえない。
バブルのころは本当、異様な活気があった。担当していた書店では「投資○○×」とか「東洋経済」とか「ダイヤモンド」がバカみたいに売れた。証券会社への配達で張り切りすぎてぎっくり腰になった店長を近くの病院に見舞ったら、病室は胃に穴を開けた株屋さんで一杯だった。
皇居を時計回りに半周して半蔵門から甲州街道。あとはほぼまっすぐ。
家についたら3時。テレビをつけたらテレビ埼玉で「大江戸捜査網」の再放送。
死して屍拾うものなし。
里見浩太郎と嵯川哲朗(高橋英樹の「鞍馬天狗」で近藤役。僕はあれ以上の近藤勇を知らない)、山口いずみ、江崎英子(のちに目黒祐樹主演の実写「ルパン3世」で不二子を好演)のシリーズ。子どものころ「なんでこんなデブでしょぼい爺さんがリーダーなんだ」と思った中村竹弥のツヤっぽくかっこいいこと。
テレビ埼玉恐るべし。同局の番組を見ているとCMまで妙な説得力があって、「十万石饅頭」を食いたくなるし、全員が演歌の「テレ玉歌謡祭」に行きたくなるし、「龍前住建」でアパートを建てたくなる。
やらなければいけないことはまだまだたくさんあるのだけど長距離移動でいささか疲れた。テレビ埼玉を見ながら今日は早めに寝よう。
と、日記には書いておこう。
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