星野陽平『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社・1,600円)

 床屋さんで…、今は理髪店って言うのかな。


以前なにかテレビで「理髪店に置かれている本で一番多いのは何か」という調査を見たことがある。10年ほど前だったか。たしか「ゴルゴ13」が圧倒的に強かった。

ゴルゴ13 173 (SPコミックス)

ゴルゴ13 173 (SPコミックス)



でもそれも今は昔。近年はいわゆる「コンビニゴシップ本」の方が多いような気がする。


「本当は怖い○○○」とか「誰も知らない△△の秘密」とかのペー
パーバックス。マンガとコラムの混成で300円から500円くらい。


本当は怖い昭和30年代 〜ALWAYS地獄の三丁目〜

本当は怖い昭和30年代 〜ALWAYS地獄の三丁目〜



散髪に行くたびに芸能界のウラ事情や都市伝説、「反社会勢力」の台所事情から外食 産業のバックヤード、はたまた嫁姑問題やママ友トラブル等に強くなる。


 カットの順番を待つ間読むにはちょうどいい。一つの章が短いので途中で順番が来て中断しても惜しくない。

 
 今回採り上げた本『芸能人はなぜ干されるのか?』。当初このタイトルを見た時は「あのテのコンビニペーパーバックスかな」と思ったが、手に取ってみ たらなかなかの骨太だった。


芸能人はなぜ干されるのか?

芸能人はなぜ干されるのか?


 タイトルの通り、古今の「干された」芸能人についてから論は始まる。曰く、 北野誠鈴木あみセイン・カミュ…。たしかに最近見なかったり、ある時期 全く見かけなくなったりした。


「たまたまお前が見なかっただけだろう」とい う指摘もあるだろうが、憚りながら僕は一日16時間はテレビを見ている人間だ。その可能性は極めて低いはず。 その「干された」人たちの「何故」を追求したのが


この本なのだが、そこまでなら「コンビニゴシップ本」によくあるし、インターネット上にも「消えたタレント×××に関するまとめNAVER」などが数多く散見される。
 



 
 この本はそれにとどまらず、つねに戦国状態である芸能界のクロニクルも詳述する。



 合従と連衡、背信と裏切り。まるで…三国志演義。魏蜀呉に相当するのがナベプロホリプロ、吉本、バーニング等(順不同)。それに先立つ春秋戦国や項羽と劉邦に相当するのが、「五社協定」や永田・ラッパ・雅一、そして大蔵・女優を二号にしたんじゃない二号を女優にしたんだ・貢の時代。


わが芸と金と恋―伝記・大蔵貢 (伝記叢書 (296))

わが芸と金と恋―伝記・大蔵貢 (伝記叢書 (296))


 まさに群雄割拠、百花繚乱、百花斉放、百鬼夜行。国を盗りあうように覇権を競い、砦を落とすようにタレントを引き抜き、そして干す。

 

引き抜いて干す。まるで大根である。



おおっこれが「大根役者」の語源か(違います)。
 


本書に紹介されていたエピソード。

 
1970年代後半。当時からゴシップ好きだった僕もよく覚えている騒動。ある雑誌が載せた「芸能界相関図」に対し大勢の芸能人が大挙して原告団を結成し訴訟に及んだ。しかし本当にタレントによる訴訟だったのだろうか、プロダクション主導による示威ではなかったかと著者は疑問を投げかける。プロダクションがマスコミの喉元に突き付けた匕首ではなかったかと。

 
18歳の桜田淳子は閉廷後の記者会見で「相手の方もいろいろ事情があったでしょうしご家族もあるでしょうから厳罰は望みません(大意)と言ったと言う。あゝいい子だなぁ。エンゼルハットに心ときめかせたあの日は無駄ではなかった。


いや、それはともかく少なくとも桜田さんが積極的に訴訟を起こした
ものとは考えにくい。

 

この他にもこの本には色々なエピソードが紹介されている。ヒット曲もない無名の新人がこの年の新人賞を総ナメしたのはなぜか、「必殺」の仕事人たち がことごとくジャニーズだったり「大河」の主人公が隔年でジャニーズだったりするのはなぜか等。



さらにはこの本の論考をもとに、前々から囁かれていた演歌歌手Hの乱行のズンドコがなぜ今ごろ糾弾されるか、などを深読みしたり浅読みしたりしてみるのも面白い。



 ゴシップ好き、ワイドショー好きな人にはもちろんお勧め。ゴシップ好きで三国志好きの人にはさらにお勧め。さらにはビジネス書としてもお勧めしたい。



群雄割拠から勝ち残ったプロダクションは他社と何が違ったのか、ライバルをつぶすにはどうするのか、人心を掌握するには、さらには服従させるにはどう すればいいのか…。そんな何でもありのマキャベリズム的戦術、戦略についても丹念に描かれている。結構使えそう。



 もちろんここに書かれていることのすべてが本当かどうかは知らない。けれど話としてとても面白いし、説話・寓話として学ぶところも多い。


 
ところで鹿砦社の本って、はじめて読んだ。



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