「壽 初春大歌舞伎」
東銀座駅改札から歌舞伎座へ行く混雑の中で花子とはぐれかけたが大丈夫。群衆の多くは中高年の女性。その中で花子は頭一つ飛び出している。171センチ+ヒール。
でも歌舞伎座に入ったらもっと大きい人がいた。本公演の看板の一人、片岡愛之助丈夫人の藤原紀香さん。公称175センチ。本当はもっとあるらしい。梨園の妻として入口に立ち贔屓筋に挨拶をしておられた。もちろんジロジロ見たり写真を撮ったりする人などいない。
「君らのお好きな2.5次元ミュージカルとは違うよ」
と人が嫌がる余計なひと言を言わないと気が済まないワシ。
昼食の予約をして2階の客席へ。
一本目は、真山青果作「将軍江戸を去る」。
大政奉還で江戸を去り水戸に帰る15代将軍・徳川慶喜と江戸無血開城を下から支えた忠臣・山岡鉄太郎(鉄舟)の最後の一日の物語。
「相棒の米沢の事件簿でズルしてた警察の外郭団体の課長な。そんで松たか子のお兄ちゃん」
山岡鉄太郎 片岡愛之助
「ラブリン。半沢直樹の黒崎な」
これが終わったところで昼食。予約していた3階の食堂「花篭」へ。テーブルには名前の書かれたサインポールが立っている。
幕間に食う。これぞ本当の幕の内弁当(諸説あります)。
きれいな設えにおもわず写真を撮る花子。
これこれ品の無いことをするのじゃない。
でもその写真、メールで送ってくれる?
それがこれ。
美味しそうでしょ。
食事をおえて2階に下りるエスカレーター。平行する2階から3階に上がるエスカレーター見覚えあるおばさん、もといお姐さんあり。
旧知の女流義太夫三味線奏者・鶴澤寛也先生だった。
あ、〇〇〇ちゃんじゃん、どうしたの。と思わず本名。
「また、あとでねー」
ってこの混雑の中、もう会えるものか。
舞台は近江の三井寺。
近江の民芸品・大津絵のモデルの化身らが次々に現れてさまざまの舞が繰り広げられるというひたすら絵画的に舞台が美しい作品。
その大津絵の化身のうち藤娘、鷹匠、座頭、船頭、大津絵の鬼の5役を片岡愛之助丈が勤める。
この演目の「後見」の一人を中村京蔵さんが勤めている。僕の大学時代の先輩。京蔵さんが国立劇場の研修生を終えて先代の中村雀右衛門丈に弟子入りする時と僕が卒業する時の2回、「一生、応援する」ことを約束した。以来、30有余年。頼りない後輩ですみません。
会計ソフト「勘定奉行」のテレビCMでもおなじみ。
もう7年前となる脳疾患での入院中(僕のね)のこと。僕は送っていただいていた京蔵さんのサイン入りポートレートをお守りとして病室の壁に貼っていた。
この写真を見ながら、
「娑婆に戻って京蔵さんの芝居をもう一回見るまで死ねるか!!」
と、闘志をかきたてつらいリハビリに立ち向かい、社会復帰を果たした(果たした、かなぁ)。
そんなわけでまだ助けられてばっかりなのだ。
そしてこの「大津絵道成寺」。早変わりや引き抜きなどが多層的かつ複雑に組まれている演目だ。それらを補助、というか実際の操作をする後見を大変な難役。段取りや進行をすべて把握していないと勤まらない。
こちらが終わり短い休憩時間。ロビーでスマホのメールチェックをしていたら寛也先生が下りてきてくれた。
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この後の「沼津」もすごく楽しみだねと話し合った。
そういえば1980年ころ、みんなで京都南座の顔見世興行行ったじゃん。そん時も「沼津」かかったよねぇ。
「そうだったかしら。私、昔のことってみんな忘れちゃって」
俺は昔のことしか覚えてないもんね。たしか坂田藤十郎さん、当時の扇雀さんが十兵衛だったんだよ。でも平作は誰だったかなぁ。
「その頃だったら延若さんじゃない?」
という所で上演開始のチャイムが鳴った。
三本目は「伊賀越道中双六〜沼津」。
主人公の呉服屋十兵衛に中村吉衛門。
「つまり、鬼平ね」
お米 中村雀右衛門
雲助平作 中村歌六
このお芝居、前半は春風駘蕩でおおらかで大好きなんだけど後半はきつい。仇討ものは得意じゃないなぁ。みんな不幸になるんだもの。でも名演に引き込まれてしっかり感動してしまった。
歌舞伎っていいなぁ。そして歌舞伎座っていいなあ。歌舞伎だけはぜひ専門劇場で見たいなあ。ああ、東京に住んでてよかった。って割りには行ってないんだけど。行きはじめると毎月行きたくなっちゃうから厄介。大学時代は月三回は歌舞伎を見に行っていた。だって歌舞伎座の昼と夜見ただけで2回なんだから最低でも月三回にはなるでしょうよ。
そんな話をしながら帰り、買い物をするという花子と和光の前で別れ(いや和光で買い物をするというわけではないが)、有楽町周りで帰った。
そして、その月3回以上の歌舞伎見物の費用の件。僕が20歳の時に死んだ祖母が、僕の将来のために僕名義でコツコツと積み立てていた預貯金をすべて芝居見物に蕩尽してしまったことまでは花子に話さなかった。真似するといかんのでね。
車中、歌舞伎座で買い求めた筋書(プログラム、パンフレット)を見ていたら昭和56年12月の京都南座での上演の際の配役が知れた。十兵衛=中村扇雀(現・坂田藤十郎)、お米=中村芝翫(先代)。そして平作は實川延若だった。さすが寛也先生、よく覚えているじゃないですか。
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