坂崎重盛・石田千トークライブ

 今日は池袋の書店ジュンク堂で開かれた坂崎重盛石田千トークライブに行ってきた。

  講談社の名編集長・元木昌彦さんが主宰する「編集者の学校」の企画だ。

  坂崎重盛さんはエッセイスト。散歩ブームの火付け人である。現在、朝日新聞(東京では水曜日夕刊)に連載している「TOKYO・老舗・古町・散歩」が大好評でひっぱりだこの、当代きっての粋人だ。


  対する石田千さんは新進のエッセイスト。このほどエッセイ集「月と菓子パン」を上梓された。石田さんのエッセイは読む人の心をほっこりと温かくかつ豊かにしてくれるものだ。観察が細かくその視線は暖かい。かといって文体に甘さはなく潔くキリリとしているから全然臭くない。WEBでの連載もあるので、ちょっとだけリンクで紹介しよう。

  このお二人のお話ならぜひ聞きたいので編集者じゃない僕も参加させていただいた。そうしたらもうひとり編集者じゃない人と同行することになった。女流義太夫三味線奏者の鶴澤寛也師匠だ。この日記ではすっかりお馴染みのキャラクターだ。

  寛也師匠は坂崎さんのファンなので、このイベントのことを教えたら迷わず来てくれたのだ。そしてもう1人、編集者じゃない人もお見えになった。妹芸者の神代、じゃなかった寛也師匠の後輩の鶴沢賀寿さんだ。

  とまあ、こういう門外漢3人で「編集者の学校」に伺ったのだ。

  お話は面白かったなあ。とくに段取りもなく「町歩きとエッセイ」に関するフリートークなんだけど、深い教養に裏打ちされた好奇心の方向性や発想の仕方が実に興味深かった。

  本当は概要をまとめてお伝えしたいくらいなんだけど、諸般の事情により印象に残った発言のみ羅列させていただく。

・ある町に住んでみて、この大好きな町の姿をとどめたいと思った。でも写真は撮れないし、絵も描けない。だからエッセイに書くしかなかった(石田)。
・ネコのいる通りは散歩にいい。ネコは自然に快適な場所を選ぶから(石田)。
・町で言うと湯島天神、日暮里、根岸など。あと神社にはネコが集まりやすい(坂崎)
・書くことによって発見することもある。今まで気づかなかったことも、エッセイを書くことを通じて発見することもある(坂崎)。
・作品にあえて地名を書かなかったのは、無理に特定の場所に行って欲しいと思って書いたエッセイではないから。まず、自分が住んでいる町を歩いてその良さを再確認して欲しい(石田)。


  終了後はまあ、いろいろあって、つまりは打ち上げ。12人で飲みに行った。隣が大学生の団体で大騒ぎをしていて、こちらも大きい声を出さないと話が通じないのでガナリっぱなし。すっかりノドが痛くなってしまった。