第15回 柳家一琴の会

banka-an2004-08-29


今日は、中野の「なかの芸能小劇場」で我が家のご贔屓落語家・柳家一琴師匠の月例落語会「柳家一琴の会」。珍しくツマと二人で行ってきた。


ツマも近年、僕の影響というわけではないが落語に凝っている。中でも一琴さんはこの春の「くにたち寄席」でファンになって、誘ったら一も二もなくついてきた。

  初めて行ったがなかなかいい小屋だな、「なかの芸能小劇場」。区の施設らしい。駅の至近にこんな劇場があるとはうらやましい。キャパは100ちょいかな。どの席からでも見やすい。

  開口一番は林家こん平門下の女流・林家ぼたんさん。辻本清美似を逆手に取った自虐ネタがおかしい。

  続いて一琴さん登場。相変わらず声も姿も顔もいい。持病ネタで場内を沸かせた後は「強情灸」。江戸前の啖呵がシャキシャキと小気味いい。またポンポンとスピーディーかつパワフルにテンポよくサゲへとなだれ込む。

  今回のゲストは三増れ紋さん。「曲独楽」の最若手だ。「れもん」と読む。れもんちゃんである(セイヤングではない)。日本映画学校出身というからウンナンの後輩だ。ということは出川哲郎の後輩でもある。下のチラシの画像では似顔絵がエラいことになっているが、実際は長身の可愛らしい女性だ。

  おきゃんな芸風が可愛い。一見頼りない感じの演出なんだが、どうしてどうして曲独楽は見事なものだった。れ紋さんといい先ほどの林家ぼたんさんといい、こういう若く美しい女性が入ってくるのだから諸芸の世界も安心だ。


  つづいて一琴さんのネタおろしで「化物つかい」。主人公であるご隠居のモノローグが大部分となる難しい話だと思うのだが、面白かったなぁ。ムカつくほど人使いの荒い(しかもやたら元気な)ご隠居なんだが、部分部分の「ああ、ありがとう」「ご苦労さん」が温かくてイイ感じ。これならみんな文句たれながらも使われちゃうよなぁ。これは、経営者、管理職が聞くべき落語だな、うん。あ、でも最後に逃げられちゃうからダメか・・・・。

  仲入りをはさんで最後は「青菜」。「鞍馬より牛若丸が出でまして・・・」である。僕はこのネタはおかみさんが大好きで話のキーパーソンだと思うのだけど、一琴さんのおかみさんもよかった。がさつでガラッパチなんだけど妙に可愛いところもある。威張っている割には素直に押入れに入っちゃうあたりの演出は絶品だった。

  
  一琴さんは正統派の江戸前落語を安心して楽しませてくれるからいいなぁ。元気があって口跡がいいから聞いてて耳が気持ちいい。それでいて異能の俳優として活躍されるなど時代感覚も優れているので正統派でありながら古臭くない。今後も健康に気をつけて、ますます楽しませて欲しいと思う。


  ところで、客席最前列には盲目の天才画家・エムナマエ氏がおられた。インターネットで調べたら、ずいぶんと一琴さんをご贔屓のようだ。可愛らしい画風からは想像できないけど、江戸っ子で子どもの頃から寄席通いで耳の肥えた画伯を唸らせるとは大したものである。