山口瞳の会+草臥忌

今日は、キャットフィッシュで開かれた「山口瞳の会+草臥忌」に行ってきた。

どういう会かというと、全国の熱狂的な山口瞳ファンが一堂に会するという会だ。「草臥」というのは瞳先生の俳号。つまり瞳先生の命日8月30日のことだ。

札幌在住のHN石山東さんが代表を務める会だ。この石山東さんという人はもの凄い人で、熱球的なファンが高じて研究者となり、瞳先生の膨大な資料を渉猟して全書誌リスト、評伝「変奇館の主人」をまとめて出版しちゃうようなパワフルな人だ。

集まる人たちも石山東さんに遜色のないようなディープな人たちばかりだ。僕ももちろん瞳先生のファンを自認して公言しているのだけど、せいぜい60冊くらい著書を持っている程度。このぐらいではとば口もいいところだ。

  ちなみに僕は会員でもない。今回はゲストの末席を汚しに行った。地元在住で生前の瞳先生と交流があった者の1人として瞳先生の思い出を語るのが役目だ。ちなみに他のゲストは夫人の山口治子さん、子息の正介氏、作家の嵐山光三郎氏、元・オール読物編集長の豊田健次氏、瞳先生が通いつめた「繁寿司」のご主人、瞳先生の親友だったドスト氏こと関頑亭氏。ね、末席は必然でしょ。



  他に瞳先生の旅の友・臥煙氏、瞳先生のデビュー作『江分利満氏の優雅な生活』に登場する主人公の同僚・辺根のモデルである元・Sントリー勤務の杉本さん等もお見えになった。ね、やっぱり末席でしょ。

  
  今日の会は2部構成になっていて第一部がビデオ上映会。キャット・フィッシュのオーナーのマスオさん秘蔵の在りし日の瞳先生のテレビ出演ビデオだ。

  これが急遽、僕が司会進行することになった。マスオさんや石山東さんは第二部の準備に忙しいのでやむをえない。大役だが仕切らせていただいた。どう大役かというとビデオのスイッチを入れて、CMをスキップするという大役だ。

  15年ほど前のビデオだが、それを見た治子夫人が

「あら、わたくしスマートだわぁ」

  と嘆息して場内は大うけ。


  第2部は「山口瞳の会+草臥忌」。献杯に続いては、つまりは宴会だ。

  それにしても全国から(北は北海道から南は九州・宮崎まで)50人もの人が集まって、それが山口瞳の話題だけで何時間も盛り上がるというのは凄いなぁ。作家も偉いがファンも偉い。

  メニューはこれまた凄い。瞳先生が愛した鰻の「押田」のうな重。そして湯布院・亀の井別荘のプライベート日本酒「宇吉郎」。オードブルは「倶楽部六六食房」、とかなり豪華。

  途中、京都から駆けつけた瞳ファンのフォーク・デュオ「風車」のライブもあって大いに盛り上がった。

  ところで、今回の「山口瞳の会+草臥忌」には冊子「山口瞳通信」第4集のお披露目という意味もある。実はこれに僕も執筆している。いや、執筆とは言わないな。この日録に書いた書評を転載していただいた。2月に書いた『巷説天保水滸伝』書評だ。 

  
  まだまだ話したりない、暮れて欲しくない宵だった。