「大江戸小粋組旗揚げ公演」

「大江戸小粋組旗揚げ公演」に行ってきた。会場は国立演芸場

連日の演芸三昧などと言わないでいただきたい。それは誤解だ。日記が長引いただけであれは26日(土)。日曜日はお父さんとしての勤めを果たし、月曜日は仕事をちゃんとして、まっすぐ家に帰った。


それはさておき「大江戸小粋組」である。女流の寄席芸人さんによる木遣のユニットだ。わが江戸家まねき猫さんも参画し、事務方を担っている。

話は、故・古今亭志ん朝さんに遡る。志ん朝師匠は生前、浅草の夏の風物詩「住吉踊り」をとても大切にされていた。病気をおしても出演し続けた。またそれに参集する女流芸人さんたちの木遣りを大切にしていたと言う。その遺志をついで永六輔さんが立ち上がった。

それが「大江戸小粋組」。今日はその旗揚げ公演だ。

チケットはあっという間に売り切れた。だから今日も当然、満員だ。

プロデュース&司会は当然、永六輔さん。開演前に舞台前に出て前説を始めるのはいつもどおり。これが滅法面白い。

いよいよ開演。後ろから木遣りが聞こえて、その声の方を振り向くと客席の出入り口。小円歌姐さんを先頭に、面々が木遣を歌い上げながら場内に入り、練り歩く。

赤いステテコに黒い着物もイカしている。今やってる「浅田飴」のCM知ってる? あのいでたち。ステージに上がり「決め」のポーズ。カッコよくて泣きそう。つーか涙が出てくる。


今日のイベントは木遣りだけではない。というのも「大江戸小粋組」のメンバーはそれぞれが腕っこきの寄席芸人だ。その芸を見せてもらわなければいけないのだ。かと言って、総勢15人。時間がいくらあっても足りない。そこで登場するのが永マジックだ。

北見寿代さんの愛嬌たっぷりの南京玉すだれすず風にゃん子金魚さんの破壊力満点の漫才に続いて、ユニークなリレー講談。神田紅さんと宝井梅星さんがリレーで「真田太平記」を語る。念の入ったことにタスキをかけていて、交代の時はタスキを渡す。タスキを渡すのはリレーじゃなくて駅伝だ、リレーはバトン、なんて野暮なことを言っちゃいけない。

そして柳家小菊さんと三遊亭小円歌さんの俗曲のデュオ。舞台装置の藍染めも美しい。

マジックは、松旭斎美智さん、花島皆子さん、花島世津子さん、松旭斎美登さんによるシンクロナイズド・マジック。4人が動作を揃えて一つのマジックを披露するというものだ。

極め付けが「多国籍落語」。最初に好青年(女性だけど)・桂右團治さんが小咄を演じる。続いて三遊亭歌る多さん。

普段は着物姿が色っぽい歌る多姐さん、今日はセクシーなバド・ガールのコスチューム。?谷間見せ?の大サービス。目のやり場に困る(うそをついちゃいけない。釘づけだったじゃないか!)。それでさっき桂右團治さんが演じた小咄を英語で演じるのだ。さっきストーリーを把握しておいたし、英語なのでなんとなくわかる。

続いて古今亭菊千代さんがチョゴリで登場。こんどは韓国語落語(円菊一門は奥が深い)。それにしてもこれは面白い実験落語だった。

で、肝心のまねき猫さんはというと、これがまた大変だった。永さんの要望で司会補佐をしていたのだ。

しかも、永さんからはいろんなミッションが下る。床に寝て低い位置での鈴虫。一番高いところ、照明室から一番鳥。ロビーから犬の遠吠え等々。でも、それらをすべてこなし喝采を得ていたから流石だ。

フィナーレは「住吉踊り」。女性ばかりの「住吉踊り」も華やかでいいな。まねき猫さんの踊りもいい。かっぽれなんか洒脱そのものだ。全身がゴムマリみたいに良く弾んでいる。

グランドフィナーレはラインダンス。まさか国立演芸場でラインダンスを見れる日が来るとは思わなかった。

いやぁ、面白かったなあ。「木遣り」「住吉踊り」。この二つはこれからも守っていきたいと思った。


終演後、楽屋にまねき猫さんを訪ねご挨拶。

「随分、いい席に座っておられましたね。こちらから(舞台から)よくわかりましたよ」といわれる。ホントは開演ギリギリであの席しかなかったのだ。


ロビーに出る人の波、その中に国井雅比古氏の姿。「プロジェクトX」のメインキャスターだ。もしかしたら「プロジェクトX 木遣りを守った女たち」なんてのが半年後ぐらいにあったりして。