あこがれの「甲州のラピュタ」へ 甲州街道徒歩(かち)紀行〈11〉

・・・・・・・・・8月15日(金)二日目の5・・・・・・・・・・・・・・

で、ようやく「甲州ラピュタ」の話である。「甲州ラピュタ」と言っても、世間でそういわれているわけではなく、僕が勝手にいっているだけであるのだが。

中央本線四方津(しおつ)駅は上野原のとなり。甲州街道に面し、背後に山が迫る小さな駅だ。その背後の山の上にあるのが「甲州ラピュタ」こと「コモアしおつ」だ。山の上を切り開いた積水ハウスによる一大造成地で、数百軒の瀟洒な住宅が並んでいる。その全体像についてはここを見てもらったほうが良いかな。

ユニークなのがそのアクセスだ。駅から直結のガラスドームの巨大エスカレーターで一気に昇るのだ。高低差は約90メートル。緑深い山に光るガラスドームは一種の奇観。未来を予見させる風景だ。

今までも何度も前を通った。でもクルマだったり特急列車だったりして常に素通り。一度その有名なエスカレーターに乗れたいと思っていて、ついに念願がかなう時が来た、というわけ。勇躍、エスカレーターの「駅」というべき塔屋に乗り込んだ。

ところががっくり。エスカレーターは朝夕の通勤通学時のみの運行だった。そのかわり日中は斜行式エレベーターが運行していた。これでも十分。


外は大変な暑さだが、エレベーターの中は涼しく、そのうえテレビまでついている。オリンピックを観戦。

5分ほどで頂上に着く。もちろん途中に停留所はない。

頂上には大きなスーパーがあった。そしてまわりには瀟洒な住宅が整然と立ち並んでいる。相当に広い町だ。建築基準が厳格なようで景観は整然として美しい。歩いている人達もオシャレな感じで表情も明るい。

スーパーは地元資本の「公正屋」。ここで一休みすることにした。奥の方に休憩スペースがあり、これがまた気が利いている。

ベンチとテーブルが置かれ、飲み物の自販機もある。ちょっとしたした喫茶店がわりになる。

また巨大液晶テレビがあり、アニメの「デスノート」をやっていた。地元のケーブルテレビの有料チャンネルのデモンストレーションのようだ。

三吉はコーラ、僕はカップベンダーのレギュラーコーヒーを飲んで一休み。あ、電子レンジもある。上野原で買った酒饅頭をチン!して食べた。

スーパーではペットボトルのお茶とエアーサロンパスを購入。ついでにお茶の保冷用に氷もいただいた。


いやーいいなぁ、「コモアしおつ」。ちょっと住みたくなってしまった。新宿から1時間ちょっとで十分に通勤圏だし、清潔でインフラも整っている。自然にも恵まれている。エリア内をちょっと歩いたところ、まだまだ分譲中の所もたくさんある。

そんなことを考えながら「甲州ラピュタ」こと「コモアしおつ」を後にした。


ふたたび甲州街道を西に向かう。さっきいただいた氷をビニール袋に入れて、火照った首筋に当てると気持ちがいい。

新呼戸橋を越えると大月市桂川の清流を眼下に見ながらトンネルの側道に進み、酒屋の角で左に折れて甲州街道にしばし別れを告げる。

豪壮な「塩瀬大橋」(8月15日の日記の写真の中央)を渡り、だらだらとした山道を登りきったところで、今夜の宿が見えてきた。

☆☆本日の歩行約20.8キロ。自宅からここまでの歩行距離、約56.3キロメートル☆☆