清野とおる『東京都北区赤羽』

毎月20日近くなると必ず本の話題になるが、気にしないように。偶然である。


そういうわけで、面白いマンガに出合ったのである。


清野とおる東京都北区赤羽 1 2』(Bbmfマガジン・各840円)

先日、2巻目が刊行されたばかり。元はケータイコミックらしい。書名の通り「赤羽」が主人公のエッセイマンガだ。

冒頭、転居してきたその日から、赤羽は著者・清野に罠をしかけてくる。やたら迷いやすい複雑な地形、ヘンな店、ヘンな人物たち。それらとのディープな交流を軸とした日常が描き連ねられる。

まずはヘンな店のオン・パレードだ。

【その1】いつも店主が客席で熟睡している、やる気ゼロの居酒屋、
【その2】判じ物のような謎のメニューを掲げるものの書いた本人も答えがなんだったか忘れている居酒屋、
【その3】長年連れ添った夫婦で切り盛りしている、と思いきや不倫カップルだった居酒屋、
【その4】鍵が無く、大きめの石を鍵代わりにしている居酒屋・・・。

と、これがすべて同一の店のエピソード。このクラスの強烈な店が次から次へとぞろぞろ出てくる。


 登場人物たちも異常に濃い。
【その1】地下室に住む元力士とその妻、
【その2】スピリチュアルな悩みを持つヤクザ、
【その3】自作の歌のカセットテープを売る女性ホームレスのペイテイさん、
【その4】喫茶店で赤飯を売り歩く老婆、
【その5】心の弱りにつけいるニセ托鉢僧・・・。

 次から次へと著者の周りには濃い物語を携えた人物たちが集まりくる。


 それにしても赤羽おそるべし、凄い町だ・・・。と書きかけたんだけど、本当にそうなのかな。よく考えてみるとそんなことないかもしれないな。

 やる気のかけらも無いダメダメな酒場ならどの町にもあるし、インチキ臭い托鉢僧や弁の立つホームレスなんてのもどの町にもいる。モンダイなのはそこに面白さを見出せるか否かってこと。つまり、赤羽だから面白いんじゃなくて(いやそれも少しはあるだろうけど)、清野とおるだから面白いということじゃないかな。


言い方を替えよう。清野が面白さをグイッと引き寄せ、ズルズルと引き出しているんじゃないかな。だから、この本を読んで「へぇー、赤羽って面白いんだ!」と、日曜日にカメラを提げて観光に行っても、多分手ぶらで帰ってくることになるだろうと思うぞ。


 長くなった。ゆっくり語りすぎた。続きは明日。現代の赤羽を入口に、江戸時代の吉原を経由して、「ぬかるみの世界」、さらにらは出川哲朗にまで論を進める予定である。乞うご期待。

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