夏休み終了と「ベースボールマガジン」

この一週間は芸事三昧。普段はなかなかいけないので会議室のご利用が夏休みで外出できたのだ。

8月5日(土) 山谷祭り(出演=中川五郎・ジンタらムータ) ←クリック

8月6日(日) 久保新二ハレンチ劇場 ←クリック

8月7日(月) 「APARTMENT出版記念会」 ←クリック

8月10日(木) 「逢坂RIE 浅川マキを歌う」 ←クリック

8月11日(金) 「浅川マキに逢う ライブ & 上映会」 ←クリック


とりあえずこれで一段落。僕の夏休みも終わり。そろそろ「ざしき童子展」の準備をしないと。まずは展示室の掃除。ゴミだしをしていたら実家で老父も身辺整理をしていた。その傍らに目を見張るものがあった。


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昭和21年の春の事である。


14歳のいっちゃんはプロ野球に夢中だった。


半年前の昭和20年8月15日までは戦争一色だったが、敗戦からたった3か月後の11月には野球連盟が復活し東西対抗戦が再開された。いかに庶民が娯楽を求めていたかがわかる。年明けての3月には早くもペナントレースが再開された。


そんな中、新しい野球雑誌が創刊された。


その名も「ベースボールマガジン」。半年前までは決してい許されない敵性語の誌名。戦後間もなくのことだ。出版流通も今のように確立されてないし出版情報も皆無。いっちゃんはその創刊号を買いそこなってしまった。


2号目からはなんとか買ってもらったが創刊号は読めなかった。どんなことが書いてあったんだろう。


そんな話を幼馴染のたーちゃんにした。たーちゃんもいっちゃん同様、いやいっちゃん以上に野球が大好きな少年だ。たーちゃんも同様に創刊号を買いそこなっていた。


同じ村のお向かい同士だから条件は同じである。ただたーちゃんはいっちゃんよりも少し行動的だった。


さらには幸運もあった。第2号の奥付けにある出版社の住所はいっちゃんとたーちゃんの住む村だった。出版社と言えば千代田区か文京区だけど都心はまだ焼け野原。その新興の出版社は社長夫妻の疎開先の東京西郊のその村で誕生したのだ。


たーちゃんは住所を頼りにその出版社を訪ねた、「創刊号を売ってください」と。応対に出た社長さんは訪ねてきた村の野球少年の熱意に感じいったのであろう、創刊号を無料でくれた。


そして義理堅いたーちゃんは、いっちゃんの分ももらってきてくれた。


その後、いっちゃんは大学に入るころまで毎月買い続けた。モノクロの表紙でペラペラだったその雑誌は、戦後の復興と共にだんだんページ数も増え厚くなり、表紙も彩色写真ながらカラーになっていった。



風呂屋の息子であるいっちゃんは風呂屋を継がずに、プロ野球好きのサラリーマンになった。巨人ファン。定年退職し80代も半ばになった現在も毎日のプロ野球テレビ観戦は欠かしたことが無い。


一方、仕立て屋の息子であるたーちゃんは家業を継ぎつつ乞われて地元の都立高校の監督を務め、その高校を都立高初の甲子園へと導いた。




そしてこの7月、各紙に掲載されたのがたーちゃんの訃報だ。


【訃報】市川忠男さん84歳=東京都立国立高校野球部元監督

市川忠男さん84歳(いちかわ・ただお=東京都立国立高校野球部元監督)7月12日死去。(中略) 国立高の監督として1980年に第62回全国高校野球選手権大会に出場。都立としては史上初の甲子園出場を果たし、「都立の星」と呼ばれた。 (2017/7/14 朝日新聞毎日新聞、日刊スポーツ、他)




「ベースボールマガジン」昭和21年4月の創刊号から約5年分ほぼコンプリート。約60冊。




創刊号。



表紙の隅に「贈呈」のスタンプ。たーちゃんこと市川忠男さんが出版社に捺してもらったもの。



創刊号の奥付け。



正式な当時の地名は「北多摩郡谷保村国立」だが「谷保村」が省略されている。出版元は恒文社。社長である池田恒雄氏の名前から取った社名。当初、ベースボールマガジン社は編プロという位置づけだった。


阪神の藤村・物干竿・富美男。



この人は後年、テレビの「新・必殺仕置人」の「元締の虎」役で大いに凄みをきかせた。



巨人の川上・赤バット・哲治。



後に巨人監督となり手堅い采配で前人未到の「V9」を果たした。


しばらくはこの60冊で楽しめそう。


それからこの表紙、Tシャツにプリントしたりしたらメチャメチャかっこいいよね。




※谷保村時代のベースボールマガジン社について。創業者・池田恒雄氏の実子であるノンフィクション作家の工藤美代子さんが「工藤写真館の昭和」に詳しく描いている。絶版中だけど講談社ノンフィクション賞受賞作品なので図書館には必ずあるし古本市場にも潤沢にあるしキンドルでもあるはず。国立の歴史に興味のある方は、ぜひ研究してみてください。



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