関頑亭「雪となまずと仏画展」

banka-an2004-01-31


  暖かな一日だった。

  今日はあきるの市のギャラリー「綜藝舎」まで足を伸ばして、関頑亭先生のに行って来た。

  頑亭先生は国立を代表する芸術家。木彫家で仏師で画家だ。85歳。国立の市宝といわれている。奈良時代に行われていた幻の技法「脱活乾漆」を復活させたことで知られている。故・山口瞳氏のエッセイにも「ドスト氏」としてレギュラー出演していた。

本当はものすごく偉い先生なのだけど全然偉ぶったところがなく、僕のようなものともよく遊んでくれる、それはそれは気さくでやさしい人だ。この日記によく登場する「エソラ=キャットフィッシュ」のマスオさんのおじさんにあたる。外見的にはセガの「バーチャファイター」のカンフーマスター「シュン」と瓜二つである。

  今日が初日。昼前に伺うと頑亭先生はお客さんと談笑中だったのでまずは作品を見せていただいた。

  最近、頑亭先生は良寛さんの絵を多く描いておられる。昨年末のエソラでの「はがきゑ展」にも「五合庵」の絵を出品されていた(僕が初日の朝一に買わせていただいた)。今回は良寛さんが村の子どもたちと雪の中で遊んでいる図がいくつかあった。

僕はもちろん頑亭先生の作品をすべて見ているわけではないが、ここ10数年は結構拝見しているつもりだ。その範囲で言えば、こういう図柄っていうのは今まではなかったような気がする。新境地といってもいいんじゃないかな。85歳で新境地、すごい。

  ひととおり拝見した後は先客の方々と一緒に頑亭先生と歓談できた。話は墨の良し悪し、漆の良し悪しから縄文人の世界観、風洞実験から発想した鯰の造形などなどいろいろなお話が聞けて、それこそ時間を忘れてしまうほどだった。

「蕃茄さんも絵を描いた方がいいよ。あなたの絵は面白いもの。うちに遊びに来てくれたらあなたに合った絵の具をあげるよ」

と有頂天になってしまうようなお話をいただけた。4年前にマスオさんたちと「俳画展」を開いた時や、去年まで毎年、銀座で開催されていた嵐山一家の「俳画展」での僕の作品を見て、面白がっていただいたようなのだ。ええ、行かせていただきますとも。


  この「綜藝舎」さんがこれまたいいギャラリーだ。造園屋さんがやっておられる画廊で、内外に巧みに自然を採りいれているのがさすがだ。内壁は自然の木肌を活かし、入るとフワァーと木の香りがただよう。「綜藝舎」の名付け親も頑亭先生で、ここで毎年この時期に個展が開かれている。

  上に書いたように絵は年末に購入させていただいたので今日は遠慮した(頑亭先生のファンは全国にいる。地理的な有利さで初日の一番に買い漁るのは後から来られる方に申し訳ないので自粛している)。かわりにといってはなんだが、頑亭先生がデザインされた七宝焼きの鯰のピンバッヂを購入した。皆さん、今度会ったときは僕のジャケットの襟元に注目してみてください。


関頑亭 新春展(雪となまず仏画展)
1月31日[土]〜2月5日[木]
午前11時〜午後6時(最終日は4時終了です)